医療留学を目指す医学生の中には、USMLEの受験を考えている方もいるのではないでしょうか?国外の試験なので情報が少なく、受験の流れや費用、勉強方法がわからず躓いてしまっている方も少なくはないはず。
そこで当ページでは、USMLEに関する詳細を徹底解説します。USMLEを初めて受験する方向けの勉強方法も伝授するので、受験を検討している方は必見です。
目次
USMLE(United States Medical Licensing Examination)とは、米国の医師免許(ECMFG Certificate)を取得する際に行われる国家資格です。
大きく分けて4段階に分かれており、Step1から受験し合格したら次のステップに進めます。
※2022年1月現在、Step2(CS)は新型コロナウイルスの影響で中止されており、今後廃止となる可能性があります。(現在はOETという試験に変更されています。)
Step1とStep2(CK)は日本の会場でも受験可能ですが、Step2(CS)とStep3は渡米する必要があります。
またStep2以降は難易度が高く、ある程度国内で臨床経験を積んでから受験するのが理想的。Step3についてはECMFG Certificateを取得した後に受験資格を得られます。
医学生なら在学中にStep1を合格するだけでも十分です。
参照:https://www.toho-u.ac.jp/med/course/kokusai/usmle/index.html
https://www.path-to-success.net/usmle
(参照:https://consocio.jp/usmle/about.html)
2022年現在、日本の医学部の在学生・卒業生であれば誰でもUSMLEを受験可能です。
しかし2023年以降は、WFME(世界医学教育連盟)かJACME(日本医学教育評価機構)認証が認証した大学の医学部の在学生・卒業生に限定されます。
受験資格が絞られてしまうため、以下の認定大学一覧に掲載されていない医学部の在学生・卒業生の方は早めに決断しましょう。
USMLEの難易度は医学生の国試や定期試験よりも高いです。目安で東大の2次試験と同じくらいのレベルとされており、医療の深い知識と処理能力が必要です。
日本人の合格率についてはデータがないため一概には言い切れないものの、日本を含む外国人の合格率は5割〜6割程度と言われています。
また合格ラインについて、2020年2月以降はPass(合格)/Fail(不合格)の2つに分かれており、合格点はありません。
3桁のスコア制度も廃止されているので覚えておきましょう。
(参照下:https://www.ompu.ac.jp/news/of2vmg0000002i00.html)
USMLEを受験する大きなメリットとして、合格することでアメリカへの臨床留学ができるほか、在学中に行われる選択制臨床実習でアメリカの病院を希望する際に有利になることもあります。(一部の病院ではUSMLE Step1の合格を応募条件としています)
さらにUSMLEを受験するメリットは他にもあり、全く無意味というわけではありません。
将来アメリカに医学留学を検討している方や、米国で医師として活躍したい方は前向きに受験を検討してみましょう。
USMLEを受験するデメリットは以下の通り。
医学生が受ける試験の中でも総合的に見てハードルが高いので、特に渡米を考えていない方は本当に必要か慎重に判断しましょう。
USMLEの申し込みは以下の流れで進めましょう。
From183はECMFG内のIWAからPDFのダウンロードができます。印刷後に必要事項を記入し、大学に提出しましょう。また卒業生の場合、日本語と英語の卒業証書も追加資料として必要になります。
受験申請後の書類提出とECMFGの確認が特に時間を要するため、余裕を持って申し込みを進めましょう。
初期の段階で高額な受験料と3ヶ月の受験期間を迫られるため、勉強してある程度のレベルに達してから申し込みするのがおすすめです。
参照:https://usmlego.com/%E5%8F%97%E9%A8%93%E6%96%B9%E6%B3%95%E2%91%A3%EF%BD%9E%E6%94%B9%E3%83%BBusmle%E5%8F%97%E9%A8%93%E6%96%B9%E6%B3%95%E5%AE%8C%E5%85%A8%E7%89%88%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BC%81%EF%BD%9E/
USMLEは受験料の15万円に加えて、問題集や模試といった対策の金額も含めるとかなり高額です。
内訳 | 金額(ドル) | 金額(日本円) |
ECFMG登録費 | 75.00 | 8,250円 |
USMLE Step1受験料(総額) | 1,2750,00 | 140,250円 |
【参考書】First Aid USMLE Step1 | 7,865円 | |
【問題集】First Aid Q&A Step1 | 6,578円 | |
【模試】NBME | 8,000円〜 |
※ECMFG登録料・USMLE受験料・NBMEは為替レートの変動によって日本円が異なる場合があります
複数の問題集や模試、試験会場までの交通費が必要な場合はさらに金額が上乗せされるため、最終的にStep1だけで30万円前後かかることも。
大学での実習経費や予備校の授業料との兼ね合いを踏まえた上で、経済的に負担にならないかしっかり考える必要があります。
参照:https://drs-medicine.com/usmle-step-1-how-much/
以下では、USMLEの出題範囲と受験当日の流れについて解説していきます。(現在中止されているStep2(CS)は割愛します。)
USMLEのStep1の場合、大まかな出題範囲は基礎医学で、以下7つの分野に分かれます。
(参照:https://www.path-to-success.net/usmle#USMLE)
特に行動科学は日本の国家試験ではあまり出されないため、事前に対策しておきましょう。
また基礎医学の知識だけでなく、病理学・病体生理学がベースの問題も出されるため臨床医学の知識も大切。さらにアメリカの国家資格というだけあって医学英単語が多数出てくるので、事前に予習しておきましょう。
USMLEのStep1はCBT形式(PC上で行う試験)。全部で7ブロックに分かれ、1ブロック40問が提示されます。1ブロックあたりの受験時間は1時間が目安とされており、合計7時間とかなりの長丁場になります。
それに加え、15分間のチュートリアルと45分間の休憩時間が与えられます。45分間を昼休憩にしても構いませんし、1〜2時間ごとに休憩を分散させても問題ありません。長時間の集中力が試される試験なので、自分の集中力に合わせて調整しましょう。
Step2(CK)は臨床医学問題がメインで、以下8つの分野に分かれます。
Step1よりも臨床的な知識が必要ですが、Step1で出題された問題と似ているものもあるので勉強は少し楽になります。
参照;https://www.path-to-success.net/usmle#Step_2_CK
Step2(CK)はStep1と同じくCBT形式で行われます。全8ブロックで構成されており、1ブロック40問以内の1時間が目安。試験時間は8時間で、1時間の休憩時間が加わります。
休憩時間の割り振りはStep1と同じく自由なので、ご自身の進捗や集中力に合わせて使いましょう。
Step3はアメリカ国内で行われる最終試験。2日間に分けて行われます。
2日目は診察を想定したシュミレーションテストです。PC上で患者情報をもとに検査を行い、入院やICUへの搬入など、その場で正確な医療判断を求められます。
参照:https://www.path-to-success.net/usmle#Step_3
以下では、医学生道場がおすすめするUSMLEの勉強方法を徹底解説します。
(参照:https://www.med.niigata-u.ac.jp/contents/campus/student/document/usmle.pdf)
USMLEの問題は全て英語で出題されるため、最低限の基礎英語力は身に付けておきましょう。
限られた時間の中で英文と向き合うことになるので、英文の速読力と高い集中力が求められます。
少なくともStep1・Step2(CK)についてはリーディング力を鍛えておけば問題ありません。
また多数の医療英単語も問題の中に含まれているので、あわせてしっかり覚えておきましょう。
(参照:https://drs-medicine.com/usmle-step-1-english-skill/#toc1)
参考書を読むだけでなく、USMLEの問題集をひたすら解いて問題ベースで知識をつけていくと効率よく学べます。
オンラインや冊子の問題集が多く出版されているので、自分に合ったものを選びましょう。(医学生道場が推奨する問題集については後述します。)
ただしUSMLEの問題を解くにはCBT合格レベルの医学知識が必要なので、あらかじめ留意しておいてください。
本番前に模試は必ず受けておきましょう。USMLEは医療の知識だけでなく、問題を解くスピードと体力も必要です。
本番さながらの時間や難易度を体験することで、自分の苦手分野や試験のストレス耐性がわかるようになります。
USMLEを受験する方は、特化的な対策を行っている予備校に通うのがおすすめです。
USMLEは日本で行われる試験の特性や勉強方法がかなり異なるため、独学だと躓きやすく挫折する可能性も否めません。
USMLE対策に特化したコースのある予備校では、問題傾向や必要な勉強の範囲を一緒に確認した上で授業を進める所が多いです。さらに英語力を身につけるための授業を行なっている所も。
合格への最短ルートと言っても過言ではないため、USMLEを初めて受験する方は前向きに検討しましょう。
医学生向けの対策塾「医学生道場」のUSMLE取得コースでは、USMLE合格経験のある現役医師がマンツーマンで指導。USMLEはもちろん、大学の進級試験や卒業試験も並行して合格できるよう細かくスケジュールを立てた上で勉強を進めます。
勉強範囲を確認し、USMLEの出題傾向に沿って理解を深められるよう授業を展開。初めてUSMLEを受験する医学生の方も安心です。また海外留学中の医師と英語の対策もできるので、英語力も磨けます。
「USMLEの受験を予定しているけど何からやればいいかわからない」という方は、是非ご相談ください。
USMLEを初めて受験する方に向けて、おすすめの問題集・参考書・模試を紹介します。
FirstAidはStep1〜3まで出版されており、USMLEを受験するなら必ず手に入れておくべき教科書的存在です。
基礎医学に関する内容はもちろん、USMLEの対策や受験の概要についても記載されています。後述する問題集「FirstAidQ&A」に関するレビューもしてくれているので、セットでの購入がおすすめです。
毎年最新版が更新されていくので、よく確認してから購入しましょう。
BRS Behavioral Scienceは、Step1の出題範囲である「行動科学」が学べる参考書です。日本の医学部のカリキュラムに行動科学は入っていないため、日本の医学生なら持っておきたい一冊と言えます。
FirstAidが出している問題集です。参考書と同じく初学者向けなので、USMLEを受験すると決めたら最初に購入しておきたい一冊。
価格も6,000円前後と問題集の中では比較的お手頃なので、FirstAidの参考書とセットで購入するのがおすすめです。
UWorldはオンラインの問題集。PCはもちろんスマートフォンからも演習できる手軽さが魅力的です。問題の難易度や文章量、フォーマットは本番にかなり近く作られており、解説もしっかりしているのが大きなメリット。
本番に近い雰囲気で問題を解いていきたい方におすすめです。
FirstAidを制作している会社が出しているオンライン問題集です。ほとんどの問題がFirstAidの参考書と連携しており、解説に参照ページが記載されています。
FirstAidは情報量が多く参照ページを探すだけでも苦労しがちなので、FirstAidの参考書とセットで始めると効率よく勉強が進められるでしょう。
NBMEは、本番で出題される問題を提供している機関が用意した模試です。本番の問題傾向に対応して作られているのが特徴で、傾向が変わるたびに模試の内容が新しくなります。
本番に最も近い模試と言っても過言ではないため、USMLEの受験前には必ず一回は受けておくと安心です。
USMLEは医学生にとって敷居の高い試験ではあるものの、受験すれば間違いなく自信に繋がり医療の視野が広がります。
アメリカへの医療留学やアメリカで医師になることを目指している医学生の方は必須になるのでチャレンジしてみてください。