こんにちは! 医学生道場の橋本です。医学生にとって、最初の関門ともいえる「解剖学」ですよね。医学部1,2年生で学ぶ科目の中でも、一番重い科目かもしれません。ここでは、いくつかのコラムにわたって、その勉強の手助けとなるような情報をまとめていきたいと思います。
前回までは、それぞれの器官系についてのさわりの部分だけを触れていました。
ですから、「こんなことは医学部生でなくても知っているよ」という部分が多かったと思います。今回からは、その内容を踏まえた上での、「医学部一二年生での解剖学」のステップアップ的な部分になります。
ここでも模式的なイラストを示しますが、アトラス等で自分で確認しながら勉強を進めていってほしいと思います。また、自分で図を描きながら理解していくことも一つの手です。その時に、この図を参考にしてみて下さい。
今回は、その中でも、股関節についてのお話をします。
出てくる筋肉の名前が非常に多いので、覚えるのが大変だと思います。少しでも覚えやすくなるようにまとめたので、参考にしてみてください。
いきなりですが、一つクイズです。人間の関節の中で、特に可動域が広い関節は、どこでしょうか。
答えは、「球関節」と呼ばれる関節です。肩関節と股関節が当てはまりますね。実は、あちこちに動かせるということは、脱臼しやすいということでもあります。実際、肩関節は、人体の中でも非常に脱臼しやすい関節です。では、似た構造の股関節は、どうなのでしょうか。
一つヒントを出したいと思います。人間は直立二足歩行をしていますね。ですから、股関節が動かせなくなれば歩けなくなることも、想像がしやすいでしょう。そんな大事な関節が脱臼しやすいと、困ってしまいますね。
つまり、股関節には、脱臼をしにくくする構造が必要なのです。
さて、股関節と言いますが、何の骨と何の骨の関節かわかりますか? 答えは、骨盤と大腿骨ですね。そして、さらに細かく言えば、寛骨と大腿骨です。
大腿骨ですが、股関節側の面は球状になっています。それを、大腿骨頭と言います。そして、寛骨にある「寛骨臼」が、大腿骨の「頭」をすっぽりと入れています。
先ほども書いた通り、体重を支える必要がある分、同じ球関節でも、股関節のほうが脱臼しにくくなっているのです。そこで、股関節を安定させるため、靭帯がたくさんついて、がっちりと固めています。その代わり、可動域は肩関節に比べるとやや劣っています。
肩関節に比べると可動域が狭いとはいえ、球関節である股関節は、自由な方向に動かすことが出来ます。次は、その動きを分解して考えてみましょう。股関節の動きを、下に示します。
屈曲:前屈するときの姿勢です。
進展:逆に後ろに反り返る姿勢です。
外転:力士が四股を踏むように、足を広げる姿勢です。
内転:逆に、脚を交差させるような姿勢です。
外旋:ガニ股で立つ状態です。
内旋:内股になる姿勢です。
内転と内旋といった、似たような単語があるので、混同しないようにしましょう。
次では、股関節の運動にかかわる筋肉を見ていきます。
股関節の動きの種類が多いということは、それにかかわる筋肉も多いことになります。動きの種類ごとに、関わる筋肉を見ていきましょう。
まずは、屈曲に関わる筋肉です。主なものは大腿直筋(大腿四頭筋)や腸腰筋があります。特に腸腰筋はいわゆる「ひれ肉」です(笑)
次に、伸展に関わる筋肉です。一番有名なものは、大殿筋ですね。これ以外に、太ももにもあります。これらは「ハムストリングス」と呼ばれています。くわしく言うと、大腿二頭筋と半腱様筋、そして半膜様筋のことです。運動部に入っている人は、聞いたことがあるかもしれませんね。
そして、内転に関わる筋肉は「内転筋」とも呼ばれています。内ももの筋肉で、長短内転筋や大内転筋、恥骨筋などがあります。
また、外転と内旋は、関わる筋肉がほぼ共通しています。大腿筋膜張筋、中殿筋、小殿筋です。マヒすると、特徴的な歩行が見られます。
最後に外旋に関わる筋肉は、大殿筋の下にあります。梨状筋や大腿方形筋などがあります。医学部に入るまで聞いたことがない筋肉だったと思います。
ここでは、股関節の動きや筋肉の名前を挙げるだけになってしまいました。覚えにくいと思うので、アトラスを見て自分で書いてみるといいと思います。きっと、教科書を読むだけよりはずっと覚えやすくなると思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。このコラムを読んで、医学部1,2年生の解剖学の勉強が少しでも楽になることを期待しています。
以上、医学生道場の橋本でした。