皆さんこんにちは!医学生道場東京校の大島と申します。
11月に入り、随分と肌寒い日が増えて参りましたが、医学生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
本日の記事では、今話題になっている医師国家試験の出題範囲・方式の変更点とその対策についてお話し致します。
先日、厚生労働省によって行われた「医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会」により、これからの医師国家試験をどのように改善すべきか議論がなされました。その結果、医師国家試験の方式・出題内容の変更を行う方針が固められました。
現時点で検討されている変更点については、以下の通りとなっているようです。
Ⅰ. 出題基準、内容に関して
・医学生が共用試験合格後に参加することとなる診療参加型臨床実習に集中できるよう、医師国家試験で出題される内容は可能な限り臨床実習における経験を評価する内容に絞る。具体的には、各論について出題する疾患の厳選、出題する疾患に求められる知識の範囲の明示、臨床実習前に修得可能な単純知識を問う領域の除外を検討し、全体的に範囲を絞るべきである。
Ⅱ. 禁忌肢に関して
・出題数については従来通り。内容については、「極めて非倫理的な事項」を禁忌肢とすると選択者が少なく有効性の判断が困難となるため、禁忌肢導入当初の「患者の死亡や不可逆的な臓器の機能廃絶に直結する事項」に限定すべきである。
Ⅲ. コンピューター制の導入に関して
・個々の受験者に対して異なる問題が出題され、異なる日時においても受験が可能となるシステムの構築がなされることが望ましい。段階的に導入できるよう具体的に検討を進めるべきである。
・試験問題にプール制を設け、問題を適切に再利用することで試験の質の向上に大きく寄与されるべきである。
・プール制を導入するに当たり、試行問題や絶対評価の導入が可能となる為、原則として問題は非公開とすべきである。
…等々、これらの変更点を踏まえると、医師国家試験はいずれCBTと似た方式のものとなることが予想されます。
これからの医師国家試験は、臨床分野を中心としたCBT形式のものへと変化するとのことですが、それではこれからはどのように国家試験対策を立てるべきなのでしょうか。
従来の医師国家試験では、その性質上3年次、若しくは4年次で受験する共用試験(CBT・OSCE)と範囲が一部重複していたため、特に基礎医学分野についてはどのような内容が問われるのか予想することが可能となっていました。しかしながら方式変更後の医師国家試験においては、共用試験受験後に医学生の皆さんが参加する臨床実習で学んだ内容を特に重視する方式を採るため、より臨床実習に力を入れる必要が生まれています。そのうえ、共用試験では問われない疾患を中心に出題される為、基礎を疎かにせず、一方で新たな疾患の発生機序・性質を勉強することが求められるようになります。
加えて、CBTと同様にプール制を導入する方針が固められていますが、試験当日に出題される問題は原則非公開とされる為、CBTと同一の対策法をとることは難しいと思われます。良問と判断された問題がプール問題となり数年連続で出題されたとしても、試験を受験する側の医学生にはどの問題がプール問題なのか、判断することは不可能だからです。計画的に学習を進め、試験1か月前までには基礎的知識から臨床分野まで幅広く習得している状態が望ましいといえます。プール制の特性上難問や奇問はそれほど多く出題されない為、基礎を疎かにせずに着実な学習を進めることで、試験方式が変更されたとしても突破することは充分に可能です。臨床分野に関する内容に重点を置いた学習がより求められることになりますが、その他は従来の医師国家試験対策でカバーすることが出来るでしょう。
方式変更後のような、医師国家試験直前期まで参加することになる臨床実習に重きを置いた方式に対応する為にも、共用試験の方式への慣れとその後の臨床実習への積極的な参加が特に医学生の皆さんに求められるようになっています。全医学生共通の鬼門である医師国家試験における方式変更は皆さんにとってとても大変なものですが、一方で普段の学生生活で皆さんに求められていることを疎かにしなければ充分に対応可能な変更であると言えるでしょう。
ここまでの記事では、方式変更後の医師国家試験の内容と受験生である医学生の皆さんに求められている要素についてお話いたしました。ここからは方式変更後の医師国家試験を受験する可能性がある、現時点で1〜5年生の医学生の皆さんに向けてどのように医師国家試験に対応すべきかということについてお話いたします。
日本では2005年以降、医学生の医学的知識と臨床技能を測る尺度として共用試験(CBT・OSCE)が行われてきましたが、昨今の医療を取り巻く環境の変化と医学生の医療行為に対するあり方の見直しが行われ、より臨床現場での実習を重視した医療教育を提供することが望ましいと考えられるようになりました。現在の医学生の皆さんには、高い臨床技能を医学生の内から定着させることで、卒業後に従来よりも高いスキルを持った研修医として活躍することを期待されているのです。
先にも述べた通り、コンピュータ制が導入されることによって医師国家試験はCBTにより近い方式へと変化します。過去問を入手することが不可能という点で差異がありますが、根本的な対策法はCBTと同様の方法で十分突破可能といえます。すなわち、全受験生が確実に得点できる問題を誤答することを防ぐため、基礎固めをおろそかにしない学習を積み重ねることです。基礎医学分野からの出題数が減少するとはいえ、臨床分野は基礎医学の範囲を応用させた内容、基礎的知識が既に確立されていることを前提とした内容が出題されることは想像に難くありません。CBT受験の直前期までに身につけた内容は前提知識として取り扱われ、共用試験以降に参加する臨床実習で新たに学んだ内容を更に深く学習することが求められます。
こうしたことを踏まえると、従来の医師国家試験対策よりも更に発展的な問題に対応できる応用力、思考力を高める必要があると言えます。また、実際の診察をモデルとした設問にも柔軟に対応できるよう、共用試験受験段階での万全なOSCE対策をはじめ、臨床実習へも意欲的に参加し、ご自身の医師としてのキャリアを明確に描けるようにしておくことをお勧めします。実習を通して、実際に医師としての働き方を体感することは医学を学ぶ上でとても重要です。「実践に勝る経験なし」といった言葉があるように、少しでも多くの臨床経験を重ねることで着実にスキルを高めることが出来るのです。座学だけでは到底カバーしきれない実戦経験がこれからの医師国家試験受験者に求められていることを踏まえ、共用試験合格後は臨床実習に力を入れて取り組みましょう。一見シンプルな対策とはいえ、日々の心がけ次第で応用の利く実力をつけることが出来るという点で非常に有効な対策といえます。
今回の記事では医師国家試験の試験方式の変更点についてお話致しましたが、いかがでしたでしょうか。
医学生にとっての最後の鬼門ともいえる医師国家試験の試験方式の変更がほぼ確実なものとなり、困惑している方も多いと思われますが、根本的な部分は変化していないようです。着実に試験対策を行い、医師免許の取得に向けて頑張っていきましょう。
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これから本格的に寒くなり、体調管理が難しい季節となりますが、無理のない範囲で学習に力を入れていきましょう。医学生道場スタッフ一同、心より応援しております。