【著者紹介】
田邊まき 医学部在学
~過去ブログ~
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医学部の試験や実習の情報を実体験を交えてご紹介します!皆さんと医学生あるあるの悩みを共有しながら一緒に解決できたらいいなと思っています。親近感のあるブログになっているかと思いますのでお気軽にご覧下さい♪
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【ブログ内容の箇条書き】
・OSCE本番を想定し、ルーティーンを作る
・手技の順番や医療面接で聞くことのテンプレートを作る
・緊張コントロールはやっぱり古典的方法の腹式呼吸とイメージコントロール
・仲間と共に乗り越える
・ひたすら練習
目次
OSCE(Objective Structured Clinical Examination)は、医学部での実力を試す大一番。模試や練習ではうまくいっていたのに、本番で緊張して頭が真っ白になり、言葉が出てこなかった──。そんな経験をした人も少なくないでしょう。
この記事では、実際の現場で学生たちが抱えやすい「本番特有の緊張」に焦点を当て、再現性のある3つの“裏ワザ”を紹介します。いずれも、私自身が多数の受験生に伝えてきた、即効性のある方法です。
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OSCE本番、診察室に入る瞬間は最も緊張が高まります。この“入り”の段階で動揺すると、そのまま頭が真っ白になるリスクが高まります。
【表①:OSCE試験フロー(入室〜退出まで)】
項目 | 所要時間 |
呼び出し音で入室 | |
入室後課題を読む | 1分 |
ステーション練習① | 5分※タイマーを押す |
退室後次の部屋の前で待機 | 1分 |
入室後課題を読む | 1分 |
ステーション練習② ….. | 5分 |
そこでオススメなのが、開始直後のルーティン化です。例えば、
これはスポーツの「ルーティン」と同様で、身体に刻み込むことで自動的に動き始める“スイッチ”になります。
緊張して頭が真っ白になる最大の要因は、「何から質問すればいいかわからない」という混乱です。
テンプレ例:
このようなテンプレを体に覚えさせておくと、本番で思考停止しても“体が勝手に”動き出します。紙に書いて100回唱えるなど、繰り返し練習がカギです。
緊張をコントロールするには、「身体から心に働きかける」方法が有効です。呼吸・姿勢・筋肉の動きなどを活用して、自律神経を調整するテクニックがあります。
「心を整えるには、体から整える」が原則。これらはOSCEだけでなく、プレゼンや国家試験にも応用可能です。
本番の緊張を味方につけるには、試験前から「緊張を想定した練習」を繰り返しておくことが有効です。これを“逆境リハーサル”と呼びます。
例えば、模擬OSCEの練習中にあえて不自然な沈黙や予期せぬトラブル(時計が止まる、机がガタつくなど)を挟み、緊張下での対応力を養うのです。
また、試験前の「イメージトレーニング」も効果的。自分が落ち着いて行動している様子を、頭の中で何度も再生しましょう。
【図表②:イメージトレーニングで想起すべき項目】
ステーション | 項目 |
医療面接 | ・患者さん入室、本人確認 ・メモ ・OPQRSTなど聞くべきこと ・患者への配慮 |
胸部診察など | ・それぞれの項目の手順 ・アルコール消毒 ・患者への配慮 |
脳は「想像」と「実体験」を区別せずに記憶を形成する性質があります。だからこそ、ポジティブな自己像を脳にすり込んでおくことで、緊張によるパフォーマンス低下を防げます。
加えて、緊張に慣れるという観点で重要なのは「予測と対処のセットで準備しておくこと」です。例えば、「思考が止まったときのリカバリーフレーズ」を用意しておくと、想定外の場面でも冷静さを保つことができます。
例:「確認のために、もう一度症状の経過を教えていただけますか?」というようなフレーズを引き出しとしてストックしておくことで、会話の主導権を一時的に取り戻すことができます。これはOSCEだけでなく、将来の実臨床でも役立つスキルです。
また、緊張には“波”があります。試験直前にピークが来て、本番で自然と緩むこともあれば、逆に試験が始まってから徐々に高まっていくこともあります。こうした変動を事前に理解しておくだけでも「緊張に対する捉え方」が変わります。「あ、今はピークがきたな」「このあと落ち着くはずだ」と冷静に自分を見つめる視点が持てるかどうかが、パフォーマンスの明暗を分けるのです。
OSCEの練習は「1人で黙々とやる」よりも「仲間とやる」方がはるかに効果的です。理由は、
練習グループを組むときは、できるだけ“多様なレベルやタイプ”の人と組むことをおすすめします。自分より経験値の高い相手からは模範を学べ、逆に自分より未熟な相手には教える機会が生まれます。この「教える→学ぶ」の循環によって、知識の定着も深まります。
さらに、仲間の存在は心理的な安全基地にもなります。試験直前に「うまくいかなかった」と感じたとき、「あなただけじゃないよ」と一言声をかけてくれる人がいるだけで、気持ちは大きく救われるものです。仲間との相互支援は、技術面だけでなく、試験期全体を乗り越えるための強力な武器になります。
特に、本番に近い環境での模擬練習(タイマーを使う、役割を交代するなど)は、「試験独特の空気感」に慣れるために必須。
また、仲間と不安や疑問を共有することで、メンタルが安定しやすくなります。気軽に弱音を吐ける環境は、試験直前の心理的な安心感にもつながります。
【表③:仲間と練習するメリット比較表】
練習形式 | 精度 | 緊張慣れ | フィードバック | モチベーション |
一人練習 | ◯ | △ | △ | △ |
仲間練習 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
最後は裏技でもなんでもありません!笑
緊張して頭が真っ白にならない方法は、結局ひたすら練習するのみです。シンプルですが、これはとても大事なことです。
緊張して何をすれば良いかわからなくなり、手が止まる時の多くは練習不足が原因です。皆さんも試験前に急いで知識を詰め込んだけど、いざ試験が始まると何も思い出せないという経験は一回はあるのではないのでしょうか。
しかし、練習を繰り返し、何も考えずとも考えずとも手技をすることができるようになれば、たとえ緊張で頭が真っ白になっても自然と手が動いてくれるのです。
OSCEは必ず緊張します。緊張することを考慮した上で成功するためには、ひたすら練習し、体に手技を叩き込むことのみです。
OSCE本番でのパフォーマンスは、単なる知識量よりも「状況下での自己制御力」に大きく左右されます。本番で緊張を乗り越えるためには、「練習の質」と「自己管理」が鍵を握っています。これらの裏ワザは一朝一夕で効果が出るものではなく、日々の積み重ねがあってこそ身につくもの。緊張すること自体は、決して悪いことではありません。むしろ、真剣に取り組んでいる証でもあります。だからこそ、「緊張をゼロにしよう」と無理に抑え込むのではなく、「緊張とうまく付き合い、力に変える方法」を身につけていくことが大切なのです。そのためには、
「頭が真っ白」は防げます。正しい準備と習慣があれば、あなたの実力は本番でも必ず発揮されるのです。
しかし、地道に積んだ準備は必ず本番で自分を支えてくれます。あなたが目指しているのは、完璧な応答ではなく「患者の前で安心感を与えられる医療者」になること。その一歩として、今日から一つでも実践してみてください。
今回紹介した裏ワザのうち、1つでも実践できれば、大きな進歩です。すべて完璧にこなす必要はありません。あなたなりのスタイルで取り入れて、少しずつ「自分の型」を作っていきましょう。
本番で大切なのは、「失敗しないこと」よりも、「失敗しても立て直せること」。その力が、未来の現場での強さにもつながっていきます。
あなたの健闘を、心から応援しています!!
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【FAQ】
Q1. OSCE前日に緊張で眠れなかった場合、どうすればいい?
A. 深夜まで無理に寝ようとせず、「眠れなくても横になるだけで回復する」と割り切って休みましょう。前日の準備ができていれば、数時間の睡眠でも対応可能です。
Q2. 試験官の態度が無表情で不安になります。
A. OSCE試験官は公平性を保つため、あえて表情を抑えています。無表情=不合格ではないので、自分がやったことを信じて結果を待ちましょう。
Q3. 他の受験生が優秀に見えて焦ります。
A. 他人のパフォーマンスは実際よりよく見えるもの。あなたはあなたの役割を淡々とこなすことが最重要です。比べるべきは「昨日の自分」です。