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🖊著者紹介
竹田美穂 (都内私立医学部医学科4年生)
3浪を経て医学部入学、1年次に留年を経験。2年次に心電図検定3級合格。3年次には大学祭実行委員長や所属部活の主将としての経験もあり、医学の勉強と課外活動を両立。
留年・浪人経験者だからこそわかる、医学の勉強のつまずきポイントを紹介。単なる暗記に頼らない、理解を深める勉強法を模索し発信中。「やる気が出ないときでも勉強を進めるコツ」を実体験からアドバイス。医学部生活を充実させるためのヒントや、課外活動との両立術も共有しています!
留年のこわさ、勉強の挫折、精神的なリカバリーの方法などを身をもって経験しています。実体験に基づき、「医学の勉強がしんどい…」と思っている人に寄り添った、役立つ情報を発信していきます!
【過去に著したブログ】
【失敗談】孤独な医学生のデメリットとリスク【私が留年した理由】【医学生道場】
【失敗談】「一人で判断してしまう」医学生がやりがちな勉強法【私が留年した理由】【医学生道場】
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🖊今回の概要

1月は、医学生にとって最も踏ん張りがきかなくなる時期です。
年末年始の正月ボケが抜けきらないまま、気づけば期末試験が目前。
学年が上がるにつれて暗記量は確実に増えるのに、自由に使える時間はむしろ減っていきます。
「ちゃんと勉強しているはずなのに、全然覚えられない」
「去年と同じやり方なのに、今年は通用しない」
そんな違和感を覚えている人も多いのではないでしょうか。
でも、ここで一つはっきり言えることがあります。
暗記が苦手でも、進級はできます。
必要なのは、根性や才能ではありません。
鍵になるのは、暗記の方法です。
1月のテストラッシュを乗り切れる人と、失速してしまう人の差は、実は暗記のやり方にあります。
この記事では、現役医学生の視点から、 忙しい1月でも結果につながる“超効率的・暗記術3選”を具体的に解説します。
「時間がない」
「覚えられない」
「進級が不安」
そんな状況から抜け出すための、現実的な方法を知りたい人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

医学生にとって1月は、構造的に失速しやすい条件がそろっている時期です。
冬休み中は遊びに行く予定を立てている人も多く、しかも年末年始は生活リズムが崩れやすい。
集中力も落ちがちです。
気がつけば、「思ったほど進んでいない」と、焦ってしまうことも。
さらに追い打ちをかけるのが、周りの存在。
友達同士で、「○○って△△だよね」「そうそう」といっていたり、「これって~~で合ってるよね?」と聞かれてそれが分からなかったりすると、どうしても自分だけ遅れているような感覚になります。
本当はお互いに勉強した程度が違うのではなく、その時点で学習できている範囲が異なっているだけのこともあるのですが、まるで自分だけできていない、周りはすごくできているように感じてしまいます。
これが、メンタルをじわじわ削っていきます。
また、
「コツコツ勉強しているのに、昨日覚えたところが今日は忘れてる」
「直前まで頑張って覚えたはずなのに、テスト用紙を目の前にすると覚えたことが飛ぶ」
ということがあると、どうやって勉強したらいいのか分からなくなってしまいます。
ちゃんと机に向かっているし、サボっているわけでもない。
それなのに結果が出ない。
大学の期末試験では、きちんと勉強している学生も、毎年必ず何人か落ちてしまいます。
でも、ここで一つ整理しておきたいことがあります。
その原因は、暗記量が足りないからではありません。
問題なのは、 「暗記の量」ではなく「暗記のやり方」です。
同じ時間、同じ教材を使っていても、やり方次第で「残る暗記」になる人と、「流れて消える暗記」になる人が分かれます。
1月に差がつくのは、頭のよさや努力量ではなく、暗記の設計の部分です。
それでは、多くの医学生が無意識にやってしまっている 「真面目だからこそハマりがちな、間違った暗記法」とはなんでしょうか?
もし読んでいて、自分に当てはまると思ったら、それは伸びしろがあるということです。
ぜひ確認してみてください。

さぼっている人だけが試験に落ちるわけではありません。
むしろ、真面目・頑張り屋の、「ちゃんとやろう」としている人ほど、暗記の落とし穴にハマっています。
たとえば、ひたすら書く・作業しなければいけない暗記です。
スライドやレジュメをノートに書き写すとか、色ペンを使って整理するとか、付箋やカードにまとめるとか。
一見、勉強している感は強いのですが、これだと「情報を処理しているだけ」で、「思い出す練習」になっていません。
手は動いているのに、頭はあまり使われておらず、しかも作成作業に時間を取られてしまいます。
まとめノート作りに時間をかけすぎるパターンも同じです。
完璧に整理されたノートが完成すると、達成感はあります。
でもテスト前にきれいなノートがあっても、テストで出せる知識が無ければ意味がないのです。
ノートを作ること自体が目的になってしまうと、肝心の暗記に使う時間が削られてしまいます。
さらに、1科目を完璧にしてから次へ進もうとする人も要注意です。
「この科目を仕上げてから、次に行こう」という姿勢は、科目数が多く、時間も限られている中では絶対にやってはいけません。
1つ1つの科目にこだわりすぎると、他の科目が手つかずのまま直前期を迎えることになってしまいます。
科目数が多くても、全体的にまんべんなく勉強できるスケジュールを心掛けましょう。
最も危険なのが、テスト直前に初見範囲が残ることです。
「ここはよくわかんないから後でやろう」とか、「日程後半の科目は今やっても忘れちゃうから後でやろう」とか、こうして後回しにした範囲が、気づけば手をつけられないまま残ってしまいます。
インプットした知識があまりに試験直前すぎると、結局試験中に思い出せなかったり、不安と焦りで効率が落ちてしまったりしてしまい、一気に落ちます。
ここで強調しておきたいのは、 これらはまじめな人ほどやりがち、ということです。
・ちゃんと理解してから覚えたい
・抜け漏れがないようにしたい
・中途半端な勉強はしたくない
という姿勢からくるものです。
大切なことですが、年明けのテストラッシュという特殊な環境では、その真面目さが裏目に出てしまいます。
こうした失速を防ぐためには 超効率的な暗記術が必要です。

医学部の試験では、合格点を超えることがまず大切です。
言い換えれば、「すべてを完璧に覚える必要はない」ということです。
「それってヤマを張るってこと?外れたらどうするの?」
と思うかもしれません。
でも1月は、科目数も暗記量も多く、時間は限られています。
ここで変に頑張ろうとしてしまうと、時間切れで終わってしまいます。
まずは、試験には最終的に8割取るつもりで行きましょう。
8割とはいっても、「8割理解で妥協する」という意味ではありません。
「得点源になる8割を確実に取り切る」という戦略です。
たとえば、
教授が何度も強調していた部分
過去問で繰り返し出ているテーマ
レジュメで赤字・太字になっているところ。
こうした部分は、出題される確率が高い、つまり点になりやすい領域です。
まずはここを「落とさない」状態にする。
これだけで、合格点にかなり近づきます。
逆に、 試験で問われたことのない細かすぎる数値や、マイナーな疾患、スライドに小さく書いてある枝葉の知識などは、頑張って覚えようとする必要はありません。
すべての範囲を平等に覚えようとすると、結局どこも中途半端になってしまいます。
もちろん試験に出てくる可能性はなくはないですが、それはきちんとまず8割取れる実力をつけてから、最後にブラッシュアップしたい人がやるべきことです。
1月の勉強で必要なのは、 「覚えきる」ことではなく、「取り切る」こと。
限られた時間の中で進級を勝ち取るには、完璧主義は捨てましょう。

暗記が苦手だと感じている人ほど、
ちゃんと頑張ったのに本番で出てこなかった、という失敗経験があると思います。
友だちは自分より始めるのが遅かったのに自分よりたくさん覚えていることが多くて、まるで自分の暗記能力が人よりないのではないかと感じてしまいますよね。
しかし、その暗記方法は本当に正しいでしょうか?
ここでまず、はっきりさせておきたいことがあります。
記憶に残るかどうかを決めているのは、 「思い出そうとした回数」です。
ただ眺める、ただ書き写す、ただ聞くというインプット作業ばかりやるのは、非効率的です。
たとえば私は、とりあえず過去問を一通り解いてみて、「ここ覚えなきゃな」というところはPCに入れてあるAnkiというフリーソフトで、 一通りの知識を頭に入れています。
一方で、 「これ、なんだっけ?」 「説明できるかな?」 と頭を使って引き出そうとする行為も、記憶を定着させるトレーニングになります。
たとえば、見出しだけ見て内容を説明できますか?
ある程度覚えた!と思ったところは、レジュメやスライドのタイトルだけを見て、その内容を口に出して説明してみてください。途中で詰まったところが、まさに「まだ残っていない暗記」です。
たとえば、何も見ずに箇条書きで書き出してみてください。
疾患なら、 病態、症状、検査、治療の流れを、白紙に書き出してみましょう。
これができれば、ポリクリにも役立ちます。
たとえば、誰かに説明してみてください。
友だちや後輩に、どう説明しますか?
実際に人に対して説明しなくても、勉強の合間にお風呂やトイレでブツブツ呟いてみるだけでも、思考は一気に能動的になります。 そこで、「あ、ここ甘いな、もう一度復習しとこう」というところに気が付けてきます。
最初は、思い出せないことの方が多くて当たり前です。
もし「あんなに時間をかけたのに覚えられない」という人がいたら、それは頭の問題ではなく、やり方が違っているだけです。
1月の勉強では、思い出そうとする時間を増やしましょう。

1月の勉強では、なかなか長時間集中できないものです。
1月の医学生は疲れています。
冬休みも大学の課題をこなして、同時に試験勉強にも備えて、試験の科目数も多いしプレッシャーも強い。
そんな中一気に覚えようとしても、途中で集中が切れてしまって辛く感じてしまいます。
そんな時は、知識に何度も触れて、少しずつ定着させましょう。
たとえば、 25分勉強➡5分休憩 を4セット回す。
これだけで、約2時間の勉強になります。
また、あらかじめ「今日はこれだけ必ず覚えきる」と区切りをつけることで、心理的なハードルも下がります。
また重要なのは、暗記の場所を机の上だけに限定しないことです。
移動時間、電車の中、入浴中、寝る前の10分など。
こうしたスキマ時間は、思い出す練習をするのに最適です。
・疾患名を見て、病態を思い出す
・キーワードだけ見て、流れを再生する
・何も見ずに頭の中で説明してみる
これを、ぜひやってみてください。
全科目を毎日少しずつ回すことで、「全然やっていない科目」がなくなり、直前期の不安が減ります。

ここまでで、暗記の考え方とやり方を紹介してきました。
さて、それではどのようなスケジュールで勉強を回せばよいのでしょうか。
例えば、
平日:新規2割+復習8割
休日:各科目をざっと1周
平日は、授業や実習、移動などで時間が削られます。
新規:復習=2:8の配分で、新規範囲は全体像をつかむ程度とし、スキマ時間を使ってすでに触れた範囲を思い出す練習で固める。
こうすることで、やったはずなのに忘れている状態を防ぎやすくなります。
休日は、細かい完成度を求めないことがポイントです。
全科目に一度は触れ、流れを確認、抜けている範囲を洗い出す。
1日使ってこの科目を完璧にする!ではなく、全体を見渡す日として使います。
直前期は、新しいことはやらないこと。
新しい教材・新しい範囲に手を出すことです。
直前期は、 見たことがある内容、どこかで一度は整理した知識を思い出す練習に全振りします。
やはり直前に詰め込んだ知識は、最も飛びやすいです。
私も、消化器の範囲で直前まで新しい知識を詰め込んでいたら、当日全ての知識が飛んで真っ白になってしまったことがありました。
直前期は、 新規ゼロ・確認100%のつもりでいてください。

1月になると、気持ちの面でしんどくなる人が一気に増えます。
勉強しているのに不安が消えず、周りと比べて焦ってしまう。
「このままで本当に進級できるのか」と考えてしまう。
こうした感情を抱くと、
「自分はなんて頭が悪いんだ」
とか、
「今後医学部生活うまくやっていけるのか」
とか、思ってしまいがちです。
でも、 不安が出てくるのは、状況を正しく理解しているからです。
1月は、 試験範囲も広く、時間が限られている中、結果が進級に直結するプレッシャーを感じてメンタルが揺らぎやすいです。
不安を感じる人は、
・今の位置
・残り時間
・求められるレベル
をちゃんと把握しているのです。
温かい飲み物を飲んだり、入浴したり、よく寝たり、太陽の光を浴びたりして、自律神経を整えるのも、メンタルを持ち直すための一つの方法です。
でも、この不安を根本的に消すためには、行動で上書きするしかありません。
たとえば、 今日やることを決めて、それを必ずこなすこと。一つでも多く知識を頭に入れること。
こういった小さな行動を積み重ねることで、「ちゃんと勉強しているから大丈夫なはず」と思えてきます。
もう一つ大事なのは、 不安がある=向いていない、ではないということです。
不安があっても手を動かし続けた人が進級しているのです。
医学生道場では、
「今の勉強法が進級ラインに合っているか」
「何を捨てて、何を拾うべきか」
「1月をどう回せばいいか」
こうした部分を、一緒に整理するサポートをしています。
今やっている勉強を、
「ちゃんと点につながる形」に整える。
それが一番大切だと考えています。
もし今、
そんな気持ちが少しでもあるなら、
一人で抱え込まなくて大丈夫です。
1月は長くありません。
でも、ここをどう過ごすかで、その後は大きく変わります。
あなたが最後まで回し切れるように、
伴走できたらと思っています。
はい、もちろんです。
暗記が苦手な人は、
「覚えたつもりになる」「スケジュールが甘くて時間切れになる」人です。
暗記の才がある人もいますが、そうでない人は、やり方と回し方で差をつけていきましょう。
なりません。
8割と言っているのは妥協ではなく、得点源を見極めて取り切る戦略です。
医学部の試験は満点勝負ではなく、合格点を超える勝負ですよね。
不合格を少なくするためにも…と数科目だけこだわって完璧に覚えようとする方が、結果的に危険です。
不合格を少なくするためには、全科目まんべんなく8割理解できる程度に仕上げましょう。
それで大丈夫です。
最初からスラスラ出るなら、練習は必要ありません。
詰まったところが、そのまま伸びしろになります。
ただただ理解せずに丸暗記してしまっていたり、理解が甘いところがあるのかもしれません。
機序や理屈、鑑別や治療方法など、きちんと説明できますか?何度も何度も繰り返してみてください。
長時間集中を前提にせず、
短時間×高頻度で回すようにしてみましょう。
一回25分セットを8回繰り返すだけでも2時間勉強できます。
不安があるのは、真剣な証拠です。勉強すればするほど、知らない知識に触れたり、覚えきれていない、理解しきれていないことに気づいて、不安は増していきます。
不安を消すためには、自律神経を整えるのも有効ですが、
根本的な原因を解消するならとにかく勉強するしかありません。
知らない知識、覚えきれていないこと、理解しきれていないことは、勉強して少しずつ無くしていきましょう。
不安があっても手を動かし続けた人が、最後に進級しています。