こんにちは。医学生道場の代表医師の橋本です。
先日、ある医学生さんから、次のような質問を頂きましたので、ご紹介したいと思います。
医学生
「先生、医者って勉強最強じゃないですか?脳の仕組みも理解しているんですよね?」
橋本
「まあ、個人差はあるだろうけど、色々利用している方法はあるよね」
医学生
「それ是非教えてほしいです。自分、本当に記憶力に自信が無くて」
橋本
「おう、全然いいぜ。医学生が医学部の中で、効率的に医学を記憶する方法!名づけて医学的ウルトラ記憶法!」
医学生
「うわ~~かっこわる(;´∀`)」
橋本
「かっこいいって言ったら教えてあげよっかな( `ー´)ノ」
ちなみに医学生は、医学部の中では、「脳を勉強する分野」で、記憶の仕組みについて学習します。
電気生理学や脳神経学です。記憶の仕組みは、とても複雑で、まだ解明されていないことも多くあります。ですが、記憶の仕組みについてしっかり勉強しておくと、記憶力が失われてしまう認知症などの疾患について学習する時にもとても役に立ちます。
さて、このコラムでは、すぐに医学の学習に役立てられるような形で、記憶の仕組みと応用の仕方について伝授したいと思います。これが理解できれば、医学部での効率的な医学の学習を可能にする事間違いなしです! 是非楽しく読んでみてくださいね(*´▽`*)
目次
まずは、脳の仕組みの前提についてお話したいと思います。脳はどんな細胞からできていましたか?
そうですね、神経細胞ですね。脳は、神経細胞と、そこから伸びる神経線維の集まりです。それらが互いに関連しあって、四肢(手足)や体幹に指令を出し、その結果、人は運動をすることができます。
反対に、脳卒中(脳梗塞や脳出血などの、脳の血管の障害の総称)になってしまうと、当然、脳の神経細胞がダメージをうけてしまい、体が言ったとおりに動かなくなってしまいます。同様に、記憶をつかさどる部分の神経細胞がダメージをうけてしまったら、当然記憶をなくしてしまうでしょう。
このように、人は脳の神経細胞からの命令(指令)を受けて、記憶も含め、行動しているのです。
というわけで、記憶は神経細胞が影響し合って記憶しています。
つまり、神経細胞同士の「シナプスの結合」が全てです。よって、神経細胞が「どのような環境の下」で結合するのか、それを理解するができれば、どんどん記憶をすることができるはずです。それらの知識は、ただ知っているだけでも一生使える知識ですので、自分に合う方法を試していきましょう。今回は、代表的な二つの仕組みを説明したいと思います。
まず、この言葉を聞いたことがあるという人はいらっしゃいますか。
医学部ではこの言葉で勉強をしないと思いますので、恐らくほとんど聞いたことがある人はいないと思います。「奇異」というのは、すなわち「普段と特に異なる状況」という意味です。つまり、いつもと違う場所や環境で勉強した場合には、記憶に残りやすいということなんです。
例えば、旅行や友達の家など、普段と違う場所に行った時の経験のことを思い出してみてください。もしそれが、その一回だけの経験であったとしても、どうしてか強く、そして長く印象に残っているということはありませんか?
それは奇異な状況の典型的な例の一つです。
医学的に説明すると、その経験をしている最中、脳の中でドーパミンが多量に分泌されていて、その結果として神経がつながりやすいので、強く記憶に残ったということなのです。
これと同じように、すごく恐ろしい経験や、泣いてしまうぐらい悲しい経験、心から喜べるような楽しい経験などは、やはり記憶に強く残るのはイメージしやすいと思います。それはこの、奇異な状況のなせる記憶の仕組みなのです。効率的な記憶を求めている際には、自分から意識してこの状況・環境を作り出す必要があります。次に、「関連付け」という脳の仕組みについて説明したいと思います。
もう一つ、効率的な記憶を求める際に、重要になる脳の仕組みについてお話したいと思います。それは、「関連付け」というものです。
イメージとして、単調な作業がなかなか記憶に残らない、というのはイメージがわきやすいと思います。その反対で、一つの事を覚える時に、色々なことを「関連付け」させて覚えると、どれかの神経がつながる可能性が高くなるので、効率的に記憶に残すことができるというわけです。
例を挙げてみたいと思います。一つ想像してみて下さい。あなたは今、中国の北京に医学部の留学で来ています。そこで、行ったことのない街の中心街に行き、凄い数の人の中、お酒のにおいと香水の匂いに囲まれて、全く知らない髪の長い外人さんに銃を突き付けられながら、医学生のあなたに向かって「医学生道場!」と言われたら、さすがに覚えてしまうと思いませんか?
時が過ぎて医学部を卒業して、当時のことを思い出そうとした時に、「えっと、あの時に、、、そういえば北京で、、えーっと髪の長い外人で、、、えーーっと、そういえばそんな奴が道場とかって言ってたような、、それで、えっと、医学生のあの時に、、、そうだ!医学生道場だ!」と。このような感じです。
分かりづらくなってしまった少し極端な例ですが、沢山のヒントがあればあるほど、思い出す可能性が高まるということです。
ちなみにヒントと言うのは、人間の五感から入ってくる情報なので、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚・温痛覚などに依存します。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、読み進めてもらえると分かると思います。
この二つの仕組みを理解することが出来れば、医学部の中での効率的な医学の記憶方法に応用するのは簡単です。いくつか例を挙げてみたいと思います。
〇いつも勉強している場所ではない、全く違う場所で勉強してみる(関連付けとしては視覚・嗅覚・聴覚を利用している)。
〇スタバが多い人はエクセルやファミレスを利用してみる(同様に視覚・嗅覚・聴覚の情報を関連付けさせようとしている)。
〇場所を変えたくないのであれば、席を移動してみる(視覚・嗅覚・聴覚などをヒントに、思い出させるきっかけを作る)。
〇いつも一緒に勉強している仲間とは違う仲間と勉強してみる(視覚を利用)。
〇あまり聞かない音楽を聞きながらやってみる(聴覚を利用)。
〇医学部の中のクラスの好きな子を勉強に誘ってみる(色々な感覚を利用)。
〇あまり飲まない(むしろ嫌いな)飲み物を、あえて飲みながら勉強する(味覚・嗅覚を利用)。
〇身体を使ってダンスをしながら、口に出して大声で覚えてみる(色々な感覚を利用)。
他にも色々あると思います。恥ずかしいな、と思うものほど記憶に残りやすいです。周りに変な人と思われない程度の、自分に合う方法を使ってみましょう(;´∀`)
※関連コラム「医学を効率よく勉強したい時の、精神論と実践論を伝授!」
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医学生道場 代表医師 橋本将吉