こんにちは! 医学生道場の橋本です。医学生にとって、最初の関門ともいえる「解剖学」ですよね。医学部1,2年生で学ぶ科目の中でも、一番重い科目かもしれません。ここでは、いくつかのコラムにわたって、その勉強の手助けとなるような情報をまとめていきたいと思います。
前回までは、それぞれの器官系についてのさわりの部分だけを触れていました。ですから、「こんなことは医学部生でなくても知っているよ」という部分が多かったと思います。今回からは、その内容を踏まえた上での、「医学部1,2年生での解剖学」につなげるステップアップ的な部分になります。
ここでも模式的なイラストを示しますが、アトラス等で自分で確認しながら勉強を進めていってほしいと思います。また、自分で図を描きながら理解していくことも一つの手です。その時に、この図を参考にしてみて下さい。
今回は、その中でも、頭部の筋肉についてのお話をします。
さて、まずは「頭にある筋肉」の分類からしていきましょう。大きく分けると、「表情筋」と「咀嚼筋」の二種類あります。どちらも、名前の通り役割で、想像しやすいかと思います。
「表情筋」は、顔の皮膚を動かしています。顔の筋肉が動くことで「表情」ができるのですね。
一方、「咀嚼筋」は、下顎骨を引き上げたり、前後・左右に動かしています。この動きで食べ物を噛み、すりつぶすことができるのですね。
これからは、それぞれの筋肉の内容についてみていきます。
次に、「表情筋」のお話です。顔面の皮膚を動かし、眉を動かしたり唇をすぼめたり、などを行います。表情筋には「上唇挙筋」「下唇下制筋」「口角挙筋」などの口の周りにある筋肉、「皺眉筋」「眼輪筋」「鼻毛下制筋」などの目や鼻の周りにある筋肉などがあります。これらは全て、「第七脳神経(顔面神経)」に支配されています。
さて、ここからは豆知識です。実は、「表情筋」は、魚のエラを動かす筋肉が由来です。エラは内臓ですね。つまり、体の外にありながら、内臓の筋肉であるともいえるのです。そして、内臓の筋肉を動かす筋肉(と同じもの)でありながら、「骨格筋」と同じように「横紋筋」に属します。このように特殊なので、「鰓弓筋」と呼んで、他の筋肉と区別することもあります。
「咀嚼」をするから「咀嚼筋」というのはわかりやすいと思います。また、頭部には顎関節以外の関節はありません。ですから、顎の関節を動かす「咀嚼筋」は、頭部にある数少ない「骨格筋」とも言うことができますね。
ところで、、「咀嚼」とはなんでしょうか。結論から言います。「咀嚼」は、「消化」の第一段階です。ちなみに、国語辞典で「消化」と調べると、「食べ物を体内で化学的に分解し、吸収しやすい状態にする事」と書いてあります。
ここで皆さんにクイズです。氷砂糖と粉砂糖、どちらが水に溶けやすいでしょうか。そうですね、粉砂糖のほうですね。同じように、口の中に入った食べ物を物理的にばらばらにしておく方が有利なのです。
顎関節を上に引き上げ、または前後・左右に動かすことで、食べ物を噛み切り、すりつぶすのですね。そんな「咀嚼筋」は、「咬筋」「内側・外側翼突筋」「側頭筋」があります。そして、「第五脳神経第三枝(下顎神経)」に支配されています。
最後まで読んでくれてありがとうございました。いきなり「脳神経」という単語が出てきましたね。そこについては、別のコラムでもまとめてみました。併せて読んでみてくださいね。このコラムを読んで、医学部1,2年生の解剖学の勉強が少しでも楽になることを期待しています。
以上、医学生道場の橋本でした。