こんにちは。医学生道場の代表の橋本です。
先日、ある医学生さんから、次のようなお問い合わせを頂きましたので、ご紹介したいと思います。
医学生
「先生、医学部ってすごく勉強が大変ですよね」
橋本
「その通りだ。最近は部活やサークルに入る余裕もないって医学生も多くなってきたね」
医学生
「受験時代は部活やサークルに入りたいな~なんて思っていたんですが、実際に医学部に入ってみると思った以上に進級試験対策の勉強が大変で、所属するかどうか迷っています」
橋本
「ちなみに、今興味のある部活とかサークルはあるの?」
医学生
「そうですね、運動部も文化部もいくつか勧誘を受けています。先生、医学部で部活やサークルに入るメリットについて教えてほしいです」
橋本
「なるほど、メリットとデメリットを比べて考えてみようって事だな。了解だぜ!」
医学生
「ちなみに、先生は部活に6つも入っていたと聞きました。逆に、一番何もしていなかった部活はなんですか?」
橋本
「間違いなく電子工学研究部だな。部室を獲得して、友達と話すだけの部活だった。下手したら進級にもマイナスになっていたかもしれん。予算申告もゼロだったから、真っ先に廃部になってしまった(;´∀`)」
医学生
「うわあ、先生らしい(-_-メ)」
確かに、医学部の中での進級のための勉強は果てしない量です。部活やサークルの時間を勉強に充てる事が出来れば、進級試験に簡単に合格して、進級しやすいのではないかと考えるのは必然的ですよね。
私は、部活やサークルに入る時には、メリットとデメリットがあり、バランスが重要だと考えています。もしかすると人によっては、部活やサークルに入る事で、プラスにもマイナスにも、どちらにでも転ぶと思っています。
進級試験の時間を確保するためには、結構大きな問題になります。そこで今回は、医学部で部活動やサークル活動に所属した時のメリットについて、コラムを書いてみたいと思います。もし、それでもメリットが少ないなと思えば、無理して所属する必要は無いのかもしれません。
仲間は人生そのものだ! と言われることもありますが、医学部時代の部活やサークル活動が楽しかった経験は、振り返ってみると、やはり大切だったなと思います。
医学的には、仲間と目指す大会や目標達成は、脳内で神経伝達物質が大量に放出されるので、幸せを感じたり生きがいを感じたりします。医学部に入ってから本気で討論したり喧嘩をしたりすることができるのも、仲間がいるからこそです。一生の付き合いになる大切な出会いもあるかもしれません。
ただ、やはり「振り返ってみると」というのがミソで、「これから先、仲間を作って楽しくなれる」という保証が無いのも事実です。仲間をつくるのが目的、というよりは、一緒に何かに取り組んでいて、仲間になっていた、というのが、目指す流れとしてはいいのかもしれません。
そして将来は、仲間もみんな医者になります。医者になってから、久々に会った時に、昔にしたアホな失敗や、楽しい思い出話がどんどん出てきたりします。このメリットについては、私は医学部時代には気づきませんでした。
起きている間に体力を使うことになるので、夜はぐっすり眠ることができます。
ちなみに、内科外来では、運動不足を解消せずに睡眠薬の処方を希望する患者さんが多くいます(;´∀`) 睡眠薬に頼るようになってしまうと、次の日に薬の効果が残っていてしまい、力が入らないので体力を使わず、夜にはさらに眠れなくなってしまって、という流れができてしまいます。
話しがそれてしまいましたが、医学部での部活動やサークル活動は、昼間に疲れて、夜はぐっすり眠る事ができ、生活習慣のリズムをつくることができるという点で、大きく役立ちます。夏休みや冬休みには医学部の授業が無いので、進級試験の勉強をする上でも、とても大きなメリットになります。
どの診療科に進んだとしても、患者さんは悩みをもって病院に来るので、医者になると精神的に休まる暇はありません。また、病院から帰ってきてもすぐに呼び出されたり、呼び出されなかったとしても、昼間の患者さんが悪くなっていないかどうかなど、色々と考えてしまうものなのです。そういう時に、思いきり気分転換できる方法の一つが「全く違うことをする」ということです。
気分転換の方法には色々あると思いますが、人は自分が得意な事を趣味にしやすかったりする傾向があります。医学部時代に挑戦として偶然始めた部活動やサークル活動が、いつの間にか必要不可欠な趣味になっていたということも珍しくありません。
もしアルバイトをしない場合には、医学部では部活動やサークル活動が唯一、外と交流する機会になってしまいます。病院で働き始めると、想像も出来ないような数の、様々な価値観の人と交流することになりますので、医学生のうちに色々な価値観に触れておくと、医者になってから得になるかもしれません。
部活動やサークル活動で、ある程度以上の成果を目指す場合には、どうしても戦略を練る必要が出てきます。医学生という限られた時間の中で目標を達成する戦略を立て、もし失敗した場合には、軌道を修正したり、異なる選択肢を考たりすることになります。そういった経験は、人生を歩んでいく上でいつでも重要になりますし、医療でも患者さんの「治療戦略」を立てるときに、とても役に立ちます。
例えば、臨床の現場では患者さんに治療の方法について説明をする時に、いくつかの選択肢を伝えます。
「この場合はこういうメリットがあるよ」
「この治療は、積極的な治療ではないが、デメリットは少ないよ」
「時間軸を使って考えると、最終的にはこっちの方がメリットが大きいと思うよ」
このように、様々な選択肢を伝え、後はご自身の価値観で選んでください、というような様子です。話を戻しますと、医学部での部活動やサークル活動での経験は、戦略を練る思考力を鍛えるのにとても役に立ちます。
他のコラムでも、進級試験対策の資料や過去問の大切さをお話していますが、医学部では部活動やサークル活動に所属していると、仲間からそれらをもらえる可能性が格段に上がります。
部活動やサークル活動に所属しなくても、資料や情報を手に入れることが出来る人には、あまり問題の無い話かもしれませんが、試験の情報収集と合わせて、とても大きなメリットになるでしょう。
※関連コラム「医学部って資料ないとやばいですか?大切さから作り方まで!」
挑戦する楽しさ、成功した場合の楽しさ、価値観の合う仲間ができる楽しさなど様々です。これこそ人生の醍醐味だ、という人もいます。もしかすると、振り返ってみて嫌な経験になるかもしれませんが、楽しい経験をできるかもしれないチャンスを取りに行くための、ギャンブルみたいなものなのかもしれませんね。
※関連コラム「医学部って、仲間を作らないと進級は難しいんですか?」
こうやって見ると、医学部での部活動やサークル活動の所属は、メリットが多そうな気もしますが、やっぱりどれをどれだけメリットに感じるかは、価値観次第ですね。
一人の時間や家族の時間が大切な人にとっては、大きなデメリットになってしまうかもしれませんし、他にやりたいことがある人にとっては、進級試験の対策のためだけに部活動やサークル活動に入るのはメリットが大きいとは言えなさそうです。メリットとデメリット、うまく天秤にかけて、色々と考えてみてくださいね(*´▽`*)
相談するのが遅くて手遅れになる事はあっても、早くて問題になる事はありません。お困りの方は早いうちにご相談ください。
医学生道場 代表医師 橋本将吉