はじめまして、医学生道場の教室長の原田伸一と申します。
今回は、医学部生のストレスについて、その発散法をかんがえます。
言うまでもありませんが、医学部では並大抵ではない学習量に、心と身体もへとへとになるはずです。
人間関係も、かなりストレスのもとになっていることでしょう。
ストレスからのがれることは、ほぼ不可能かもしれません。けれど、それを漸減していく方法はみつけられるとおもいます。
どのようにストレスを発散するべきでしょうか?
医学部は本当にストレスが多いのでしょうか。
はい、これは言うまでもなくストレスが多いと言えますよね。
冒頭でも述べましたが、学習量がとても多いこと、国家試験に向けた取り組みなどにくわえ、実習が複数組まれます。
コミュニティが狭いですから、人間関係のうえでストレスを感じることがあるでしょう。
同じ学年に加え、上下の学年、教員に至るまで、数は限られますが、もし留年を繰り返すことになれば、複雑な人間関係になってしまうような気がします。
人間関係に苦しんで、次第に学習を継続させる気を失ってしまったり、隣の芝生は青く見える式に、医学部と縁を切りたくなる医学生がでてくるのも無理はありません。
学習量、実習、国試対策、人間関係など医学部生を取り囲む環境は、ストレスと無縁とはいいがたいようです。
では、医学生はストレスを発散しづらいのでしょうか?
言わずもがな、閉塞した空間に、膨大な課題量をあたえられ、それに日々いそしむ状況では、なかなかストレスを発散しにくいでしょう。
平均的な学習時間を一日当たり5,6時間として、これを間断なく数年継続させなければなりませんから、ストレスはみえないところで蓄積の一途をたどっているはずです。
もちろん息抜きは都度おこなうのですが、一度ストレスの累積にさいなまれると、そうやすやすとストレスが解消されるものではありません。
自分一人でストレスを効率よく解消するのはむつかしいのかもしれません。
それでは具体的に、ストレスを発散する方法についてかんがえてみたいとおもいます。
さて、部活なんて言うと、「いや、部活がストレスになってるから!」という方がいるかもしれませんが(/ω\)
部活やサークル活動に、その瞬間熱中することは、ストレスの解消に役立っているはずです。
医学生としての勉強の日々を日常とし、部活動やサークル活動は非日常と規定して、ふだん気が付かないなにかを非日常から見出すことができるでしょう。
たとえばなにかに感動すること。ささいなことでかまいません。関心を寄せることのなかった対象に、非日常的体験をとおして発見するのです。
わたしは散歩をする際、まったく同じコースを歩きます。目に見える光景は日々変わりません。それで飽きるとおもうひともいるでしょう。けれどわたしはそうはおもいません。
その日の散歩の「テーマ」を決めるのです。たとえば、きょうは丸いものに目を向けようか、緑色のなにかに注視してみようか、そう決定していざ同じ道順を行くと、その光景はまったく異なってきます。
標識の存在をはじめ、古びた掲示物や個人宅の外観のおもしろさなど、ふだんみつけられない生活の息吹など、自分とは無関係におもえたあらゆる景色が、なにか関係があるのではないかと一瞬立ち止まったりして、その脳裏を高速に横切るなにかにふと興味をもったりするものです。
どこか情緒的ではあります。しかし自分が他者の歯車として動かされている感覚があるのなら、脱する方法として、あえて外れてみる、離れてみるきっかけをつかみたいものです。
その方法として、部活動・サークル活動は、非日常的な「離脱」のスイッチとして、有用なのではないでしょうか。
次に、アルバイトがストレス解消に益するかどうかです。
それを判断する前に、アルバイトをすることで獲得できる面についてかんがえてみましょう。
一定期間アルバイトをおこなうことで得られる果実とは、多様な価値観だといえます。今風のいい方をすればダイバーシティ、多様性を感得できることでしょうか。自分とは生まれも育ちも異なるひとびとが、おなじ目的にむかって協力する場所が、仕事空間です。
その空間で、年齢や性格のちがう者同士が、ある価値観をめぐり対立をします。そこからそれをどう解決させるのか、知恵がもとめられることになります。
相手に向かって主張をこころみる場合、自身の意見を組み立てることや、相手がなぜそのような態度に出るのか考えることは、からみあった複雑な糸をときほぐし、問題を明るくすることにつながります。
価値観を俯瞰化することで、相手を尊重する姿勢が生まれます。同時に他人に顧慮するばかりか、より自分を尊重する態度をとることができるようになります。
部活動・サークル活動そしてアルバイトは身体的所作に熱中することで、ストレスから離れていく一連の行動にもなりますが、それらに集中することは多様な価値観を発見し、そこから他者を尊重し自己を肯定する契機が生まれること、すなわちストレスと感じにくくなる人間成長のきっかけになるといえるのかもしれません。
さて、医学部は入学するのも大変ですし、入ってしまってからは、同級生と会う機会も格段に減ってしまいます。しかし、逆にそれがいいかもしれません。
ひとついえることは、同級生との交流を制限することで、ありふれる情報から離れることができます。
どこかに遊びに行く、遊びに行った。彼氏彼女がどうした、どうなった。
なかには扇情的な話題がとびだしたり、余分な刺激にこころを奪われ、医学生としての学習に支障が生じかねないことも起きます。
そのような医学部生として学習意欲を削がれる機会に直面したとき、頼れるのは、同門の友人でしょう。
同門とは、狭義にとらえて、同じ医学部の学生としておきます。
苦楽を共にする同門学生のきずなをふかめておくことは、余計な情報を遮断する防波堤となります。同じ目標にむかう者同士マスターマインド同盟をきずくことで、脱線し始めたとしても、友達が本来のコースにもどる手助けをしてくれるはずです。
余計な情報イコールストレスとすれば、医学生の友達は、みなさんをストレスから守ってくれる大事な存在になってくれることでしょう。
趣味はありますか? 無いという方も多いとおもいます。
そもそも趣味とはなんでしょうか?
身銭を切って自発的に取り組むことができ、時間が過ぎるのも忘れて熱中できること、そう定義しておきましょう。
趣味をつくることの意義は、つらい、きつい、大変の切羽詰まった状況から、一瞬でも離れることができる点にあるでしょう。
ストレスを感じる前に、趣味の領域に一瞬離脱することは、有効なのかもしれません。
ストレスに弱い方もいると思います。塾長の橋本は良く言っていますが、「善い人ほどストレスに弱い、損をしている」と(; ・`д・´)
「善い人」ほど他人に配慮するあまりストレスをためて身体をこわしてしまうようです。
かといって「悪人」になれと推奨はしませんが、発散できないほどのストレスをため込むまで、自分に厳しくし
すぎる必要はないのでしょう。
ストレスはときに自分自身を押し上げる推進力をあたえますが、場合によっては病気の原因になりますので、適宜ストレスを発散する方法を身につけておくべきでしょう。
わたしたち、医学生道場では教育熱心な現役医師が一対一の個別指導をおこなっています。学習計画の立て方、試験対策はもとより、留年危機から救出する最後の砦としての役割も果たしています。
何をしてよいのかわからない、迷子だ。そのような方もどうぞいらっしゃってください。
悩みごと、心配ごとはひとりで解決できるものではありませんから、ぜひわたしたちにご相談ください。