著者:金子桃香(東京私立大学 3年生) 医学部について調べていく中で、CBTやOSCEなどの厳しい試験、膨大な勉強量、そして日々のスケジュール管理の難しさや精神的な負担の大きさを知るようになりました。そうした背景から、医学生が抱える悩みや、大学生に共通する不安に関心を持つようになりました。少しでも医学生の皆さんの力になれるような情報を発信していけたらと思っています。 過去のブログ:【医学生道場】医学生道場とは?進級・留年の不安を解決!~医学生のための塾~
目次
こんにちは!医学生道場です。
医学部は、定期試験・CBT・OSCE・国家試験対策と、次々に課題が押し寄せてきます。内容は難解で、量も膨大。その中で「一生懸命勉強しているのに、時間が経つとすっかり忘れてしまう」という悩みを抱えていませんか?
「定期試験のために勉強したのに、本番ではまったく思い出せなかった」
「CBTやOSCEが近いのに、知識が定着している実感がない」
「進級や留年の心配が常につきまとう…」
こうした不安は、決して珍しいものではありません。
記憶が定着しない背景には、学習量や時間だけでは解決できない問題があるのです。
原因は、決して「自分の能力が低いから」ではありません。多くの場合、「正しい覚え方」や「定着しやすい学習法」を知らないだけなのです。
本記事では、「記憶が定着しないときに見直すべき3つのポイント」「絶対に忘れない暗記のコツ5選」を紹介いたします!
「覚えたつもり」から「本当に思い出せる知識」へ!
正しい学習法を身につけることで、記憶の定着率は大きく変わります。定期試験やCBT、OSCE、国家試験など、あらゆる場面で結果につなげたい医学部生の皆さまに、ぜひ最後までお読みいただきたい内容です。
「覚えたはずなのに、いざテストになると書けない」「なんとなく分かったつもりだけど、人に説明できない」といった状態は、「覚えた気」になっているだけで、真に記憶が定着していない証拠かもしれません。このような状態に陥る主な原因は、以下の3つが考えられます。
脳が情報を「大事な情報」だと認識するための最も基本的な方法の一つが「反復」です。同じ情報に繰り返し触れることで、脳は「またお前か」と認識し、重要度が高いと判断するようになります。
例えば、単語を覚える際、1単語に1分かけてじっくり取り組むよりも、10秒でサッと確認するのを6回繰り返す方が、効率的に記憶に定着するとされています。これは、脳に繰り返し情報を提示し、重要だと“錯覚”させるためです。
しかし、多くの学生は、一度覚えたらそこで満足してしまい、十分な反復や復習を行わない傾向にあります。特に、一夜漬けのような学習では、短期的な記憶には残っても、長期的な定着には至りません。
一度覚えた情報も、放置すると時間の経過とともに急激に忘れていきます。適切なタイミングで復習を行うことで、再び記憶に定着させるまでの時間を大幅に短縮できます。
復習を怠ると、再び覚え直すのに多大な時間と労力がかかってしまうのです。これはまさに「復習不足」が原因であると言えるでしょう。
「覚えたつもり」になっていても、実際に使ってみると全くできない、という経験はありませんか?
これは、目で見るだけの受動的な学習や、ただノートに書き写すだけの作業では、記憶の定着が不十分であるためです。
脳に情報を定着させるためには、その情報を「使おう」とするアウトプットが非常に重要です。
ある医学生の例では、内科のチュートリアルにおいて、毎回「この疾患の治療法を自分の言葉で説明してください」と求められる中で、教科書を読むだけではなかなか答えられなかった薬剤名や適応疾患について、実際に声に出して説明することを繰り返すうちに、自然と記憶に定着していったということです。
この現象は、自らその情報を「使おう」とすることで、脳がそれを「重要な情報である」と錯覚し、記憶として優先的に処理されるために生じます。
単に読むだけでなく、声に出して確認する、問題を解く、仲間に説明するといったアウトプットの機会が不足していると、知識は簡単に忘れてしまいます。
単語の意味は知っていても、文脈の中でどのように使われるか理解していない、公式は覚えているが、その背景にある原理や応用方法を理解していない、といった状態だと記憶の定着を妨げてしまいます。
前述の「アウトプット」は、この「理解の浅さ」にも関連します。なぜなら、単に丸暗記しただけの情報は、いざという時に応用が利かず、忘れてしまいがちだからです。
単語や用語の意味だけを知って満足してしまうと、その知識は応用が利かず、「使えない知識」に終わってしまう可能性があります。
たとえば、「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系」という言葉自体は知っていても、それが低血圧や腎機能とどのように関係しているのか、あるいはACE阻害薬がなぜ咳を引き起こすのかといった点まで理解できていなければ、試験などで問われた際に適切に対応することができません。
自ら説明しようとしたときに、「あれ、なぜこの治療が選ばれるのだろう?」と疑問が生じることがあります。こうした“つまずき”を通じて、初めて知識を体系的に結びつけて記憶に定着させることができるのです。
さらに、感情と結びついた記憶は定着しやすく、忘れにくいとされています。
たとえば、「試験で間違えて悔しい思いをした」「チュートリアルで自分だけ正解して嬉しかった」といった感情の動きが、「これは大切な情報だ」と脳に認識させ、より深い記憶の定着を促してくれます。
これらの原因が分かったところで、一体どのように暗記をすればいいのか?
まず、記憶を定着させる上で一番大事なのは
脳に大事だと“錯覚”させる
ことです。
その方法5選をお伝えしていきます!
脳に「この情報は大事だ!」と“錯覚”させるには、効率的な間隔学習が大事です。
このアプローチは、情報を忘れがちなタイミングで復習することで記憶の定着を図る方法です。
【黄金の復習タイミング】
→1日後→3日後→7日後→14日後→1か月後
→スケジュール帳やアプリに復習日を入れておくのが◎
効果的に知識を身につけるには、いつ復習を行うかが重要とされています。一般的におすすめされているのは、「学習した当日」「その3日後から1週間以内」「そして約1ヶ月後」という3段階のタイミングで復習を行うことです。これによって、記憶を長期間にわたって保持しやすくなります。
忘却はどのように進むのか?
ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスは、記憶が時間とともにどのように薄れていくかを調べ、実験データを「忘却曲線」として可視化しました。この曲線からわかるのは、人間は何も対策を取らなければ、覚えた情報の多くを短時間で忘れてしまうということです。
復習をしないまま時間が経てば経つほど、再学習に必要な時間は増えてしまいます。そのため、早めの復習が効率の面でも非常に有効といえるのです。
「覚える」行為は、インプットだけでは不十分です。実際にその情報を使って「アウトプット」することで、脳は「使う必要がある情報=大事な情報」だと認識します。 具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
セルフテストを行う: 参考書の文字を隠して自分で言えるか確認する。
人に説明する: 理解した内容を誰かに説明してみる。
問題演習に取り組む: 知識を使って問題を解く。
前述の医学生の例のように、授業内で生徒にひたすらアウトプットさせた結果、彼らは自ら覚えようと努力しなくても、自然と記憶に定着していきました。これは「自分で使おうとしてみた時に、脳が大事な情報だと錯覚した」結果です。受け身で聞くだけの授業でも、講師が一方的に教えるのではなく、生徒にアウトプットを促す形式であれば、自然と記憶が定着するほどの効果があるのです。
感情が揺さぶられた情報は、脳にとって非常に重要なものだと認識されます。
「悔しい」経験を活かす: テストで書けなかった時の「悔しい」という感情は、その情報がなぜ書けなかったのか、どうすれば覚えられるか、という意識を強くします。
「嬉しい」経験を記憶する: 逆に、難しい問題が解けた時や、自分だけが正解できた時の「嬉しい」という感情も、その情報を特別なものとして記憶に刻み込みます。 このような感情的な体験は、脳が「これだけの感情を揺さぶる情報は、きっと大事な情報なのだろう」と判断する手助けとなるのです。
人間の記憶は、場所と非常に強くリンクしていることが脳科学的にも示されています。
同じ場所で長時間勉強し続けると、集中力が切れやすくなったり、新鮮味が薄れて脳が情報を吸収しにくくなったりすることがあります。そんな時は、場所を変えるのが効果的です。
自分の部屋からリビングへ、図書館へ、学校の自習室へ、カフェへなど、場所を少しずつ変えることで、脳の「場所ニューロン」がその都度リセットされ、新鮮な気持ちで情報を取り入れられるようになります。
大学の複数の図書館を行き来したり、同じ図書館内でも階を変えたりすることで、気分転換になり、その移動中に頭の中で単語や論証を反芻することで、記憶の定着にも繋がります。
場所の移動は、リフレッシュ効果だけでなく、アウトプットの機会としても活用できるのです。
以下のブログでは勉強向きのおすすめのカフェを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください!
みなさんは「夜寝る前に暗記物を開いて、朝起きたら確認する」という習慣はありますか?
実は、人間の脳は睡眠中に「記憶の整理・定着」が行われます。
朝に覚えて夜に復習するよりも…
夜に覚えて、朝に復習する方が圧倒的に効果的!
これは、脳が睡眠中にその日取り入れた情報を整理・統合するためです。寝る前に学んだ情報は、睡眠中に脳内で長期記憶へと移されやすく、翌朝の復習によって、その記憶がより強固になります!
📌 おすすめの流れ
このプロセスは、エビングハウスの忘却曲線で示されるように、学習翌日に復習することで、再度覚えるのにかかる時間が大幅に減るという効果があります。最初は少し手間だと感じるかもしれませんが、この手間を省くと、後々より大きな労力を費やして覚え直すことになります。
これらの学習法は、正直言って「しんどい」と感じることもあるかもしれません。しかし、一度習慣化してしまえば、それらは「当たり前」のこととなり、苦痛ではなくなります。
例えば、お風呂に入る前に単語を3つ覚えることを習慣にした人は、逆に単語を覚えていない状態でお風呂に入ると「この時間がもったいない」とそわそわするほどになったと言います。習慣化の威力は絶大です。
今回は、「記憶が定着しないときに見直す3つのこと」「絶対に忘れない暗記のコツ」として、以下のポイントをご紹介しました。
これらの暗記方法を日々の学習にうまく取り入れることで、暗記効率は格段に向上します。
「覚えた気」で終わらせず、脳の仕組みを理解し、工夫して学習に取り組むことで、記憶は確実に「定着」へと変わっていきます。今回ご紹介した方法を実践し、周りの医学生に差をつけて、目標達成に近づいてください。
⭐以下に医学生道場について記載しておりますので、ぜひご覧ください。
私たち医学生道場は、医学部定期試験やCBT・OSCE対策、さらには基礎医学(解剖学・生理学など)勉強法まで、医学部に通う学生ひとりひとりの悩みに寄り添う個別指導の専門塾です。
「医学部ランキング(進級率・国試合格率)をみて焦ってしまった」「医学部試験が不安で勉強が手につかない」「留年や放校が頭をよぎる…」そんな不安を抱えている方は是非一度医学生道場にご相談ください。LINEからのご相談も可能です↓↓↓
医学生道場が気になった方や、医学部生活でのご相談、医学生道場に関するご質問などがある方は、お気軽に お電話(TEL:0422-26-7222)やメール、公式ラインよりお気軽にお問合せください!👍
お電話でのお問い合わせは、営業時間の13時から21時まで受け付けております。 (定休日:水・木曜日)
●公式ラインは以下のQRコードの読み取りでも追加可能です。↓↓
また、医学生道場のSNSではお役立ち情報を多数発信しております!
チェックしてみてくださいね!