こんにちは! 医学生道場の橋本です。医学生にとって、最初の関門ともいえる「解剖学」ですよね。医学部1,2年生で学ぶ科目の中でも、一番重い科目かもしれません。ここでは、いくつかのコラムにわたって、解剖学の勉強の手助けとなるような情報をまとめていきたいと思います。
前回までは、それぞれの器官系についてのさわりの部分だけを触れていました。ですから、「こんなことは医学部生でなくても知っているよ」という部分が多かったと思います。今回からは、その内容を踏まえた上での、「医学部での解剖学」のステップアップ的な部分になります。
ここでも模式的なイラストを示しますが、アトラス等で自分で確認しながら勉強を進めていってほしいと思います。また、自分で図を描きながら理解していくことも一つの手です。その時に、この図を参考にしてみて下さい。
今回は、その中でも、背中の筋肉についてのお話をします。
背中の筋肉だから「背筋」ですが、実はこの中にも大きく分けて二種類あります。
「浅背筋群」と「深背筋群」です。「浅背筋群」は、名前の通りに背中のすぐ浅いところにあります。そして、その下に埋もれるようにしてあるのが「深背筋群」です。これらは、場所だけで区別しているのではありません。機能面でも大きな違いがあります。下では、それを見ていきたいと思います。
「浅背筋群」の機能面での特徴は、背中にありながら、腕を動かすのに関与している筋肉である、という点です。体幹と肩甲骨や上腕骨を結び、それらを動かしているのです。それでは、どんな筋肉があるのか、具体的に見ていきたいと思います。
「浅背筋群」の中でも、皮膚のすぐ下にあるのが「広背筋」や「僧帽筋」です。体を良く鍛えた人の背中は、これらの筋肉が浮かび上がるように見えていると思うので、想像しやすいと思います。脊椎から起こり、肩甲骨や上腕骨につながっています。
広背筋や僧帽筋の下に隠れているのが「肩甲挙筋」「大・小菱形筋」の三つです。脊椎から起こり、肩甲骨に付着しています。
下図も参考にしてみて下さい。また、肩の関節については別のコラムで詳しくまとめてみましたので、そちらも併せて読んでみて下さいね。
先ほども書いたとおり、「浅背筋群」は、脊椎から起こり、腕の運動にかかわる筋肉です。一方、「深背筋群」の殆どは、実際に脊柱の運動をつかさどっています。あなたが前に屈んだり、逆に後ろにのけぞったり、または横に曲げるような動きには、この筋肉が関わっています。
「深背筋群」のうち、脊柱の運動に関わっているものは、「固有背筋」とも呼ばれています。さらに、脊柱を引き起こしたり、横に曲げたりする「脊柱起立筋群」、横にねじるような動きをするための「横突棘筋」といったグループに分かれています。ぜひ、下の図も参考にして覚えていってくださいね。かなり模式的に示したので、きちんとアトラスの図も参照するようにしましょう。
ここからは雑学になりますが、焼き肉屋で食べる「サーロイン」はこの「固有背筋」を指します。
さて、「深背筋群」に属する筋肉の中で、忘れてはいけない存在があります。「上・下後鋸筋」のふたつです。これらは、呼吸の際の肋骨の引き上げ、引き下ろしに関わっています。ぜひ、下の図も参考にして覚えていってくださいね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。このコラムを読んで、少しでも解剖学の勉強が楽になることを期待しています。
以上、医学生道場の橋本でした。