こんにちは! 医学生道場の橋本です。医学生にとって、最初の関門ともいえる「解剖学」ですよね。医学部1,2年生で学ぶ科目の中でも、一番重い科目かもしれません。ここでは、いくつかのコラムにわたって、その勉強の手助けとなるような情報をまとめていきたいと思います。
前回までは、それぞれの器官系についてのさわりの部分だけを触れていました。ですから、「こんなことは医学部生でなくても知っているよ」という部分が多かったと思います。今回からは、その内容を踏まえた上での、「医学部一二年生での解剖学」のステップアップ的な部分になります。
ここでも模式的なイラストを示しますが、アトラス等で自分で確認しながら勉強を進めていってほしいと思います。また、自分で図を描きながら理解していくことも一つの手です。その時に、この図を参考にしてみて下さい。
今回は、その中でも、頸部の筋肉についてのお話をします。
さて皆さん、唾液でもいいので何かを飲み込んでみてください。その時に顎と首の境目を触ってみると、何かが上に動いているのが分かると思います。これが「舌骨」です。この「舌骨」は、ほかの骨と関節を持ちません。
舌骨に付着している筋肉によって、その場所を維持しています。
「舌骨上筋群」は、舌骨と下顎骨を結んでいます。また、「舌骨下筋群」は、舌骨と頬骨や甲状軟骨を結んでいます。
これら「舌骨上・下筋群」は、「咀嚼」や「嚥下(飲み込むこと)」を担う筋肉です。これから、それぞれについて説明していきますね。
さて、先ほど飲み込むときに舌骨が動くことを確認してもらいました。次に、その理由を考えていきます。
結論だけ言います。下顎骨を引き上げた状態で「舌骨上筋群」を収縮されることで、「舌骨」が引き上げられます。その作用によって、気管に蓋がなされ、モノが飲み込むことができるのです。
また、「舌骨下筋群」で「舌骨」を引き下げながら「舌骨上筋群」が収縮すると、下顎骨が引き下げられます。この動きが、咀嚼に必要になります。
実は、首には、他にも「胸鎖乳突筋」や「斜角筋群」という筋肉もあります。前者は聞いたことがあるのではないでしょうか。後者は、橋本も医学生になってから初めて名前を聞きました(笑)
「胸鎖乳突筋」は、胸骨と鎖骨に始まって、頭蓋骨の乳様突起に付着しています。頭蓋骨に付着していることで、頭蓋骨を回す動きに関わっています。
「斜角筋群」は、頚椎を前や横に屈曲させたり、第一肋骨を引き上げる作用をもちます。また、「前斜角筋」と「中斜角筋」の間を通って「鎖骨下動脈」という動脈が出てきます。解剖実習での目印になるので、覚えておきましょう。
最後まで読んでくれてありがとうございました。このコラムを読んで、医学部1,2年生の解剖学の勉強が少しでも楽になることを期待しています。
以上、医学生道場の橋本でした。