有名私立医大が入試の点数を操作して、女子の受験生や浪人生を不当に差別していた問題は記憶に新しいと思います。そこまでの不正はなくとも医療業界は男性社会なので、女性医師にとって働きやすい環境が整っているとは決していえません。せっかく医師になっても、キャリアを途中であきらめてしまう女性医師は決して珍しくないのです。
女医がキャリアを諦める理由とは
女性医師がキャリアを途中で諦める理由としては、やはり出産や子育てがあります。子どもを持つと、当然ですが独身の時のような働き方はできません。医師は長時間労働が当たり前という世界なので、妊娠すると働くことを諦めてしまう人が多いのです。医師に限らず日本社会では、女性が安心して働ける環境がまだ整いきっていません。待機児童の問題などもあり、希望しても保育園に入園できないこともあります。また、医師そのものが不足しているため、女性医師を含めた医師全体の労働時間の平均は労働基準を大幅に上回っていると言われています。あまりの激務に耐えきれず辞めてしまう人もおり、さらに人手不足が深刻化するという悪循環に陥っています。特に地方などでは医師の数が足りないので、一人で大きな負担を背負わされている医師も多いようです。それから産休や育児休暇を取得することで、正当な評価を受けられなくなることもあります。解雇まではされなくても、退職を勧められることもあるようです。
塾講師として働く道もある
憧れの医師になるまでには、受験競争を勝ち抜いて国家資格を取得するなど多大な労力をかけてきたことは間違いありません。それなのに医師として働くことを諦めてしまえば、キャリアを失ってしまうことになります。そこで、出産後の女性医師の働き方として提案したいのが、医学部生を専門に扱う塾の講師です。医学部を目指す受験生は塾に通って受験対策を行いますが、そうした予備校のほかに、医学生が進級試験や卒試・国試の対策を行うための個別指導塾「医学生道場」があります。女性医師としてのキャリアを活かすことにもつながりますし、これまで培ってきた知識や経験を後進に伝える役目になります。塾の講師というと医師とは畑違いなイメージがありますが、医学的な知識や今まで受験勉強に励んできた知識が大きく役立ちます。医師のタマゴを育てる職業でもあるので、やりがいを感じる人も多くいます。シフト制がとられており、働く時間が決まっていて働きやすいといえるでしょう。
塾講師として働くメリット
「医学生道場」の講師として働くメリットには、プライベートと仕事が両立しやすいということが挙げられます。予定外の残業が発生することもありませんし、長時間労働を強いられることもありません。そのため子育て中の女性医師にとっても、働きやすい職場といえるでしょう。子どもがある程度育つまでは、仕事をセーブして短時間だけ働くといった働き方もできます。入園や入学などの節目を迎えるまでは塾講師として働いて、子育てが一段落したら医師に復帰するということも可能です。一旦専業主婦になってしまうとキャリアが中断してしまうので、現場復帰するのは大変ですが、業界は違えども働き続けているということで復帰しやすくもなります。また、一般的な学習塾とは異なるため、医療業界についての新しい情報も入ってきます。人材を育成する職業なので、こちらの方が天職だったとやりがいを見出す方もいます。実際に医療機関などで働いた経験があるので、学生にとって実のあるアドバイスができます。
日本では女性医師が働きやすい環境が整っているとはいえません。そのため出産を機に医師を辞め、キャリアを諦めてしまう人もいます。そういった人におすすめなのが、医学部向けの塾講師になる方法です。医学部受験のための予備校だけでなく、医学生の勉強のサポートを行う「医学生道場」もあり、それぞれに適正や長所が考えられるでしょう。塾講師は人材を育成する職業なのでやりがいがありますし、プライベートとも両立させやすいというメリットもあります。