皆さんこんにちは!医学生道場東京校の大島です。
だいぶ暑さも和らぎ、秋らしさを感じることが多くなって参りましたが、医学生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
今回の記事では、医学部の3年生または4年生で必須とされる共用試験であるCBT・OSCEに焦点を当てていきたいと思います。
まず初めに、医学の知識を問う試験であるCBT(Computer Based Testing)についてお話をしたいと思います。
CBTはその名の通りコンピュータを用い、全ての設問に対して正答を選択する方式で解答を行う選択式の試験です。2005年より正式に共用試験として開始され、臨床実習を行うに当たって修得していることが求められる基礎的な知識を問う目的で設けられたものです。臨床実習では医学生が医療行為を行うことが多くありますが、本来医師と認められていない医学生が医療行為を行うことは医師法に反しています。その為、特別に全医学生に共通して課される試験によって一定の基準を設けることで、合格した医学生に臨床実習の一環として医療行為を認めるといった目的でCBTを毎年行っているのです。
CBTは多くの大学で4年次の9月から11月頃にかけて行われますが、最近では3年次にCBTの受験を課す大学も増えているようです。そして、ほとんど全ての大学においてこのCBTで一定の合格点を取ることができなければ、次の学年に進級すること、次年度からの病院実習に参加することが認められないといった決まりを設けています。
CBTでは試験時間を6時間と定めており、時間内に320問が出題されますが、そのうち240問は前年度までに出題された問題の中でも正答率の高さによって特に良問と判断された問題、いわゆる「プール問題」と呼ばれる問題が占めています。そして、実際に採点対象となる問題は全てこれらのプール問題となっています。これは過去問対策によって十分に正答を狙える問題でもある為、対策を行う上でどのような問題がプール問題として出題されているかを分析・把握することがCBTで合格点を取るうえで大きな近道であるといえます。残りの80問に関しては完全新作問題であり、これは次年度以降のCBTで出題されるプール問題の候補となるものです。これらは採点対象とはならないため、あまり時間をかけずに解くことが望ましいといえます。
320問全てが同様の形式というわけではなく、320問を基本事項、医学一般、人体器官の正常・病態、全身に及ぶ生理と病態、診療の基本、医学・医療と社会の全6ブロックに分類し、それぞれのブロックでは5肢択一形式、多選択式、4連問(順序解答型問題)の3種類の問題形式が採用されています。正答選択式の問題では、一度解答した問題において見直し、解答の変更を行うことが可能となっていますが、一方で1つの事例問題について、4問連続して正確な順序を解答させる4連問については一度解答を記録すると見直し、解答の変更は認められません。CBTを受験するにあたり、最も注意すべきことは問題形式を予め把握し、解答の方法と特徴を捉えることです。
また、CBTは受験生一人一人がコンピュータを用いて問題に解答する為、受験生によって出題される問題が異なることが大きな特徴です。採点方法については、受験生ごとに問題が異なるため、問題ごとの難易度を考慮して測られるIRTといった指標を用いて採点されます。
続いて、医学生の診療知識と実技を問う共用試験であるOSCE(Objective Structured Clinical Examination)についてお話しします。こちらの試験はコンピューター上で全ての解答を行うCBTとは異なり、医療面接、診療実技といった項目を通して基礎的な臨床能力を測る試験です。大学ごとにCBTの前後のどちらに行うかどうかは異なっており、大学によってはCBTの前にこちらの試験が実施されるといったケースもあるようです。
実技試験である為、受験生は実際に試験会場に足を運び、ステーションと呼ばれる部屋で複数回の試験を受験します。ステーションでは各大学教員が予め定められた基準の下に受験生の手技、受験時の態度を総合的に評価します。実際の医療現場では、診療を行う上で特に患者さんとのコミュニケーションが重要なものとなるため、臨床実習を行う前に一定のスキルを身につけておくことが求められているのです。
毎年課される必須の課題としては、医療面接、頭頚部診察、腹部診察、神経診察があり、更に大学ごとに胸部診察又はバイタルサインの測定、基本的臨床手技又は救急診察のいずれか片方、若しくは両方を追加した、全6課題が課されます。選択問題は予め大学ごとに決められており、学生側が選択することは出来ません。また、各試験には制限時間が設けられており、時間内に模擬診療、医療面接といった課題を完了させることが求められます。
OSCEで問われる実技は、臨床実習だけではなく卒業後に勤務する病院を決定するためのマッチング、病院見学の際にも必要な知識です。
ここまでの記事では、臨床実習前の医学生に課される共用試験であるCBT・OSCEの概要について説明いたしました。ここからは、実際にいつ頃からCBT対策、OSCE対策を行うべきかという問題についてお話し致します。
初めにCBTについては、最低限受験の半年から8カ月前には勉強を始めておくことが理想といえます。CBTの出題範囲は医学部1年生から受験直前期に学習した内容とかなり膨大である為、直前期だけの勉強では確実に合格点には届きません。こつこつと勉強を積み重ね、知識の定着度を合格水準に持っていく必要があります。CBTについては、過去に出題された問題の傾向や実際のプール問題が分析しやすく、早めに対策を行うことで合格点を取れる可能性が高まります。なるべく早めに対策を始めることがお勧めです。
一方、実技試験のOSCEについては、CBTと比較して十分に対策を行うことが出来ない、といった学生さんが多くいらっしゃるようです。こつこつと勉強を積み重ねて知識を定着させるCBTとは異なり、実技試験のOSCEは直前期に本番での流れを頭に入れるだけ、といった対策法でも何とかなると考えている学生さんが多く、あまりOSCEの対策に時間を割かないようです。しかし、臨床実習に参加する上で、実際の臨床実技は特に学生さんに求められている要素です。いくら十分な知識があったとしても、実際にそれらのアウトプットを行うことが出来なければ意味がありません。OSCEについてはCBTの対策を早めに開始し、その上で3カ月前には対策を始めておくことが理想形です。対策方法としては、大学の同級生と実際の現場を想定した診療の流れの把握・通し練習、医療面接の練習をすることが効果的です。
医学生道場でもCBT・OSCE対策を目的とした授業を行うことがよくありますが、多くの受講生はかなり早めにCBT対策を始めています。まずは大学ごとのCBT・OSCEのスケジュールを把握し、その上で計画的に先生と一緒に問題集を用いて学習を行うことが多いです。CBTは問題形式が一律ではなく、答え方にもコツが存在する為、過去に共用試験を突破した現役の医師の先生から対策や問題ごとの解き方のコツを教わることで、より合格点に近づくことが可能となります。もしもこの記事を読んで、ご自身のCBT・OSCE対策に不安を感じた学生さんは、現在医学生道場公式LINEにていつでもご相談を承っておりますので、是非ご登録をお願い致します。
今回の記事では医学生の共用試験であるCBT・OSCEについてお話し致しましたが、いかがでしたでしょうか。医学生である以上避けては通れない試験である為、早めの対策や問題形式の把握といった情報収集が特に重要なものとなります。
不安があるといった学生さんは、お早めに医学生道場公式LINEにてご相談下さい。いつでも受け付けております。
季節の変わり目ということもあり、体調を崩しやすい季節ではありますが、適切に体温調節を行いながら勉強を進めましょう。医学生道場スタッフ一同、医学生の皆さんを心より応援しております。