皆さんこんにちは。医学生道場です。
早いもので年の瀬です。医学生の皆さんは今年も勉強に追われ続けた1年だったことでしょう。
そして6年生の方たちを年明けに待っているのは医学生最大のイベント…第117回医師国家試験です。
これからの人生が懸かった試験ですので、6年生の方々はここまで必死に勉強されて来たものと思います。
しかし5年生以下の方々の中には、医師国家試験についてあまりよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「受験者の9割が合格する試験」「医師免許を取得するためのまとめ試験」程度の理解ですと、医師国家試験を誤解してしまい対策に誤りが生じかねません。
敵を知り己を知れば百戦危うからずとも言いますし、本ブログでは特に制度と浪人数から医師国家試験の実像に迫っていきたいと思います。
数年後の医師国家試験に備えた入門編としてご覧くだされば幸いです。
なお、本ブログでは医師国家試験対策の解説は行いませんが、こちらのブログで「公衆衛生」の注意点や勉強法のアドバイスをしています。
また、6年生から本番が始まる医学生の就職活動「マッチング」についての解説はこちらで詳しく述べています。
どちらのブログもお役立ち情報満載です。医師国家試験やマッチングが不安な医学生の方々は、来る6年生に向けて是非ご一読ください。
6年生の方々に向けましては、ただ幸運をお祈りするのみです。医学生道場は頑張る医学生を応援しています。
さて、それでは本編始まります。
まずは現行の医師国家試験の制度紹介から始めていきたいと思います。
皆さんは医師国家試験を医学部6年生しか受験できない試験だと思っていませんか?実は医師国家試験、医学部6年生しか受験できないような心の狭い試験ではありません。
医師国家試験の受験資格について厚生労働省ホームページの医師国家試験の施行について|厚生労働省で調べると、
に受験資格があります。
年齢や医学部卒業後〇年以内といった制限がないため、何十回落ちようとも受験自体はできますし、極端な例を挙げると定年後に受験することもできます。
(応募に必要な書類を揃えられるか、合格したあと雇ってくれる病院や医療機関があるかどうかはわかりませんが。)
ただし、令和2年11月に行われた医師国家試験改善検討部会の報告書の中では、CBTやOSCEの合格から一定期間後に医師となった者に対して、知識・技能の習得を確認するために再受験を課すことが望ましいと結論付けられています。
そのため第118回以降の医師国家試験は既卒受験者に厳しい試験になる可能性がありますが、現行の制度では再受験に制限はありません。
さて、それでは次に医師国家試験の試験内容について見ていきたいと思います。
医師国家試験の施行について|厚生労働省には抽象的ですが試験内容の記載もあり、「臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、医師として具有すべき知識及び技能」が試験されるようです。
さすがに抽象的すぎるので、医師国家試験 基本情報 | INFORMA by メディックメディアという資料を見てみます。
すると、1日3個分野の試験が2日間実施され、出題数は計400問であるようです。
問題は「必修の基本的事項(略称:必修)」「医学総論(略称:総論)」「医学各論(略称:各論)」の3分野に分類され、それぞれの分野の試験が2回ずつ実施される形式になっています。
もう少し具体的に述べている資料、平成30年版医師国家試験出題基準というものよると、各分野ごとに出題範囲の割合が決められているようです。
ただし、細分化されるにつれて出題割合が明記されない範囲も出現しており、その場合は日常臨床で遭遇する機会の多い疾患や病態の出題を優先するよう明記されています。
このように、臨床で有用かどうかは医師国家試験で重視されている考え方のようです。
勉強しているとこれが何の役に立つのか考え始めてしまい能率が下がることはよくありますが、少なくとも医師国家試験は「将来の診療のため」と言い切ることができそうです。
さらに、試験形式の変更についても注意しなくてはなりません。
詳しくはこちらのブログや、医師国家試験改善検討部会の報告書をご参照頂きたいのですが、「個々の受験者に異なる問題が出題され、異なる日時においても受験が可能となるシステムの構築」が医師国家試験において望ましいと述べられています。
すなわち検討部会は医師国家試験の試験形式を現在の医学部CBTのようにすることを是としており、いずれそのようになる可能性が高いです。
それに伴ってプール問題の導入や問題の非公開化も提言されているため、これから対策法も大きく変わっていくかもしれません。
これまでは制度から医師国家試験を見てきましたが、ここからは実際の数字から医師国家試験を見ていきたいと思います。
医師国家試験の合格率だけでなく、実際に失敗したらどうすればよいのか、どうしているのかも見ていきたいと思います。
まずは合格率からです。前回行われた第116回医師国家試験の結果について、第 116 回医師国家試験の学校別合格者状況という資料から引用します。
出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
新卒者 | 9473人 | 9232人 | 8774人 | 95.0% |
全体 | 10353人 | 10061人 | 9222人 | 91.7% |
このように全受験者の9割以上が合格し、新卒者(医学部6年生の受験者)に至っては95%が合格しています。
この試験で一浪が決まった人数は458人で、大学入試と比べると割合はとても低いように思えます。
このデータからは、医師国家試験はあまり難易度が高くない試験なのかと思えてきますね。
それでは、新卒者ではない受験生に注目した表をこのデータから算出してみます。
なお簡便のため、新卒者ではない受験生=浪人の受験生とします。
出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
浪人生 | 880人 | 829人 | 448人 | 54.0% |
このように、様子がガラリと変わってしまいます。
合格率は新卒者の95%から大きく下がる54%、再び浪人してしまった人数は381人です。
これらのデータから、医師国家試験はほとんどの受験生が合格する試験ではあるものの、一度失敗してしまうと再び合格するのはかなり難しい試験であると言えます。
では新卒で医師国家試験に落ちればお先真っ暗なのか。というとそれは誤りです。
既卒でも54%は合格している訳ですし、大学を卒業できていれば一般企業に既卒で就職活動することも可能でしょう。
そしてなにより、医師国家試験を通過した人が全員医師をやっているかと言えばそうではないのです。
医師・歯科医師・薬剤師統計の概況という資料には、医師免許を持っている人の中で医療施設で従事している(院生含む)のは95.3%となっています。その他では、介護老人保健施設の従事者が1.0%、介護医療院の従事者が若干名、これらの施設以外での従事者(院生含む)が2.9%となっています。
医師免許を持っていても医師以外のフィールドで活躍されている方もいらっしゃいますので、新卒で不合格だったからといって絶望するのは早計でしょう。
医師国家試験は既卒でも受験資格はありますが、新卒時に合格することがとても重要な試験であることはお分かりいただけたでしょうか。
ほとんどの受験生が合格する試験ですが、しっかりと準備しなければ当然ながら落ちます。
しかしご安心ください。私たち医学生道場では医師国家試験対策サービスも提供しております。マンツーマンでのきめ細かな指導は、必ずや医師国家試験合格を手繰り寄せるものになるでしょう。
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