こんにちは。医学生道場の代表の橋本です。
先日、ある医学生さんから、次のようなご相談を頂きましたので、ご紹介したいと思います。
医学生
「先生、医学部で進級試験に向けて医学の勉強を始めたんですが、どうにも集中できません」
橋本
「ふむふむ。進級試験はいつだっけ?」
医学生
「えっと、多分8月の後半、、あれ、9月の頭かな」
橋本
「あれれ。そしたらどの科目から手を付けてるの?」
医学生
「自分が手を付けやすそうな科目を、パラパラ触っています」
橋本
「ふむふむ、ちなみに今回の目標はどこらへん?」
医学生
「ん~とりあえず進級できればいいかな、と、、、」
橋本
「自分で話してて、どうよ? 笑」
医学生
「自分、計画立てて無さ過ぎでしたね!笑 これじゃあ集中できないのも無理ないですね!笑」
橋本
「だな!笑 集中して勉強したければ、集中できる計画を立てないと、どうしてもダラダラしてしまう。よし、そうしたら今日は、医学生にとっておきの計画の立て方を伝授しよう!ちなみに、この方法は医学部の部活でも治療でも、それ以外でも色んな事に使えるすごい技術だぜ!」
医学生
「わーい、ゲームに応用しよう♪」
橋本
「これっ、悪用厳禁!( `ー´)ノ」
目次
計画を立てるのが嫌いな人もいますが、計画を立てることによるメリットはとても多くあります。
そして、医学教育の世界では、私は必ず計画を立てることをお勧めしています。その理由として、将来医療を行うときに「治療戦略」というものを立てる必要があるからです。
治療戦略とは、患者さんの病気をどのように治療するか、という戦略の事です。
例えば、いつ入院して、いつ手術をして、いつから内服薬を開始・再開して、いつ退院して、どのように通院してもらうか、といったものです。
計画が無ければ、みんなでスケジュールを合わせることもできませんし、ナアナアの治療になってしまいます。
医学部の進級試験の段階で、きちんと計画・戦略を立てることができるようになっていれば、とても有利になると確信しています。ぜひ身に着けてほしい技術です。
計画を立てるメリットとして、集中を邪魔するアクシデントの想定が出来る、というのも大きいです。
例えば、試験前は免疫力(白血球数ですね)が落ちやすく、風邪をひきやすかったりします。
もし、あらかじめそれを考慮した計画を立てる事が出来ていれば、試験にも落ちなくなります。
もし風邪をひかなかったら、その分試験勉強に余裕ができます。
また、部活の予定や試合などがあれば、直前にミーティングや練習試合が入ってしまうというアクシデントも想定できますし、対策をすることができます。
想定していたかどうかで、心の準備も全く違いますし、イライラしたり悲しくなったりするメンタルの変化も小さくて済むのです。
計画を立てるメリットとして一番大きいのがこれです。
大まかな行動基準を立てているので、それに沿うだけで集中力が上がるだけでなく、何か気づいた時やトラブルがあった時にも、行動の修正をすることができます。
例えば、色々な人との出会いが増え、価値観が変化するような時期もあるでしょう。
そんな時に、もし計画が立ててあれば、一から考え直すのではなく、計画を修正するという小さな動きで済むことができます。
そんな時、もし計画を立てていなければ、目の前の出来事や感情に振り回されてしまい、進級試験や国家試験という目標が危うくなってしまいます。
自分がどのように行動しているのかをあらかじめ把握しているかどうかで、多くの出来事を最小限のリスクにとどめることができるのです。
では、具体的な方法を伝授したいと思います。いわゆる「フューチャーマッピング」という手法になります。
これは、企業でも事業戦略を立てるのに用いられる手法なのですが、集中力を上げたい医学生の進級試験対策にも大いに活用できるので、ぜひお伝えしたいものです。
まず、横軸に時間、縦軸にその目標の達成度を置いたグラフを描きます。
そして、期日に目標の120%を達成するように、曲がりくねった曲線を描きます。作成例を参考にしてみてください。
ここで曲線なのは、先ほどのリスク(アクシデント)も視覚的に分かりやすくしたいからです。
120%達成を目安にするのは、アクシデントなど(風邪だけでなく、試験で失敗してしまうといったことも考えられます)によって目標が達成できないということを防ぐためです。
そして、グラフに日付とイベントを書き込みます。ここでいうイベントは、部活の試合や演奏会を含めた、日常生活での予定のことを考えてください。
このフューチャーマッピングを使う計画の立て方によるメリットを挙げて、締めくくりたいと思います。
なんといってもこれが一番でしょう。
箇条書きでリストアップするよりも、図やグラフで視覚的に見た方が、分かりやすいのです。
また、自分の頭の中でまとめようとするよりも、実はどこが足りていないのか、などといったことが見えやすくなります。
数学で「まずは図を描け」と言われる感覚に近いと思います。
計画を実行している途中でもメリットがあります。それは、途中で「自分がどれだけできているのか」ということを確認できることです。
それらは成功体験となり、今後のモチベーションの維持や向上につながることになります。
もし失敗していたとしても、それは経験となり、次回の計画を立てる力になります。
フューチャーマッピングを描いていると、それらがはっきりと目に見えるようになるのです。
相談するのが遅くて手遅れになることはあっても、早くて問題になることはありません。お困りの方は早いうちにご相談ください。
医学生道場 代表医師 橋本将吉