こんにちは。医学生道場の代表の橋本です。今回は、医学部の1年生と2年生に向けて、効率のいい勉強の仕方について、お話したいと思います。
まずはじめに、ある医学部2年生の生徒さんから、次のようなお問い合わせを頂きましたので、ご紹介したいと思います。
医学生
「先生、医学部に入ってまだ1年ちょっとしか経っていませんが、どんなことを気をつけて勉強していけばいいか、アドバイスが欲しいです」
橋本
「おお、モチベーションが高いねえ。新しく勉強する医学に対しての姿勢を知りたいということだな!」
医学生
「かっこよく言うとそうなりますが、とりあえず留年が怖いというのが本音です」
橋本
「そりゃそうだよな。まあ、色んな方法があるんだけど、上級生になるにつれて、どんどん勉強が楽になっていく方法とか、興味あるかい?」
医学生
「え、そんなのがあれば、是非教えてほしいです!」
橋本
「だが、初めのうちは、小さい事の積み重ねで、結構苦労するかもしれない。アイシールド21のデスマーチのようなものだ。それでも大丈夫かい?」
医学生
「はい!ついていきます!(この先生、時々何言ってんだか良く分からないけど、まあいいや)」
よく言われますが、医学部の進級試験は、かなり大変です。たった1科目落としただけでも留年になってしまうからです。
さらに、その1科目1科目が、とても大変なものが多いです。まるで、教科書が辞書のように見える事もあります。
そんな大変な医学部の勉強ですが、今回は1年生と2年生での勉強の仕方について考えていきたいと思います。
さて、改めて、医学部の1~2年生は何について勉強するのでしょうか。
他のコラムでも解説していますが、医学部の1~2年生は「基礎医学」を学びます。
「基礎医学」とは、人体の正常構造や機能を学ぶ学問です。高学年になって人間の病気について学ぶ前に、まずは「病気ではない人の身体について学ぶ」と読み替えてもらってもいいかもしれません。
図にするとこんな感じですね。
もう少し詳しく説明すると、基礎医学の一つの「解剖学」という学問は、人の身体をバラバラにするとどうなっているか、という視点から、人の身体について学びます。
他にも、イメージが湧きにくい基礎医学の一つ、「生化学」という学問では、人の身体(生体)の中の化学という観点から、人の身体について勉強します。
つまり基礎医学とは、色々な観点から、人の身体について見てみようということなのです。
まとめると、基礎医学は、症状や病気・疾患について勉強する臨床医学を学ぶ、ベースとなる「基礎の」科目という意味になります。
しかし、「基礎医学」という言葉を、「基礎的な簡単な医学」と勘違いしてしまっている方をよく見かけます。ですが、基礎だからと、全く馬鹿にはできません。
すべての科目が初めて挑戦する科目たちであり、必修科目であり、医学と言う専門分野であります。そして、それぞれ全て、恐ろしく膨大な分量です。
さて次章より、具体的にどのように向き合っていけばいいのか、解説していきたいと思います。
それでは、「基礎医学」を学ぶ時には、一体何を心掛けたらいいのでしょうか。三年生以降のことを考えると、すぐ忘れてしまう様な勉強の仕方は望ましくないですよね。
正解は、「本質」を理解していくように勉強することです。
「本質」とは、木で例えると「幹」の部分の事を意味します。「本質」を理解することが出来れば、様々な知識が「枝」のように広がっていくイメージです。
どんなに記憶力に自信がある人でも、医学部という大量の試験とボリュームがある世界の中では、「力づくで枝を沢山覚えていくぞ!」というのは少々危険です。
また、忘れる度に覚えなおさなければなりません。「記憶」だけではなく、本質の「理解」が重要です。
例えば、流体力学の勉強をしているとします。その時に、ただ漫然と「うわ、この公式なんなんだよ。覚えられるかよ」というのが普通の反応だと思います。
しかし、そうではなく、「どうしてこの公式を、わざわざ医学部で学ぶんだろう。もしかすると、人間の身体に関係のあることなのかもしれない。よし、ちょっと調べてみよう」と考えてみるということです。一歩踏み込んで「本質の理解」を目指すのです。
そして、インターネットで調べてみたり、先生に聞いてみたりします。そうすると、血圧や血液の流れが関係していることを知り、その流れが悪くなったりすると血栓が出来たり、血管が傷ついたりして、病気につながることが分かります。
「なるほど、だから医学部で流体力学を勉強するのか!」と納得できれば、将来的にも応用できる、価値のある勉強の仕方となります。
このように、「自分でどんどん理解してやるぞ!」という癖をつけていくと、まるで「木の幹を育てる」ような本質を学ぶ勉強法となり、3年生以降になっても、そして医師になっても活かすことができると思います。
ある生徒さんは「かみ砕く技術なんですね!」と腑に落ちたようでした。色々な表現の仕方があると思いますが、身に着ければどんな場合でもプラスになります。是非手に入れてほしい技術の一つです。
しかし、基礎医学だけを勉強していても、「どうしてこれが問題になっているのか分からないよ」という壁に遭遇してしまうことも沢山あると思います。
それらを逐一説明してくれている参考書は無いので、仕方がないと言えばそうかもしれません。
そこで、お勧めの方法があります。それは「基礎医学」の全体像を掴むのに、「臨床医学に挑戦してみる」ということです。
そもそも医学という学問は、綺麗に基礎医学と臨床医学が分かれているものではなく、スパイラルのようになっているからです。
図のように、医学という学問は、行ったり来たりして学ばなければならないものなので、基礎医学だけを勉強していても、答えが出てこないのです。そこで、臨床医学を活用しようというアドバイスです。
具体的には、先程の流体力学の例を使うと、「流体力学 病気」と調べて見ます。そうすると、動脈瘤や血栓症という言葉が、検索結果として出てきます。
それらの疾患がどういうものかをさらに調べていくと、「なるほど、この病気の理解のために、流体力学が必要だったんだな」と納得できます。納得したことが本質です。
基礎医学を勉強している身分だから、臨床医学を勉強してはいけない、なんて法律はありません。是非、積極的に「本質」を追い求める勉強をしてくださいね。(=゚ω゚)ノ
しかし、実際にやって見るとかなり難しいものです。私自身、とてもハイレベルなアドバイスをしているのも分かっています。そこでお勧めは、「臨床の先生に直接教えてもらう」ということです。周りに臨床医がいれば、ぜひその先生に積極的に質問してみましょう。
なんて面倒な学問なんだと考えてしまう人もいるかもしれません。ですが、これが医学という科目の特性であり、奥深さであり、面白さでもあると思います。私の生徒ちゃんに「徐々に慣れてきて、知的な遊びであることに気づいた」と言っていた子もいました。
医学の勉強で困っていることがあれば、いつでも医学生道場に相談に来てくださいね。笑顔でお待ちしております(*´▽`*)
最後まで読んで頂き有難うございました。
医学生道場 代表医師 橋本将吉