こんにちは。医学生道場の代表医師の橋本です。
先日、ある医学生さんから、次のようなお問い合わせを頂きましたので、ご紹介したいと思います。
医学生
「先生、社会勉強のために、アルバイトをしてみてたいと思っています」
橋本
「おお、いいじゃんいいじゃん。何か相談か?」
医学生
「ですが、お母さんに説得されていて、この間三科目も試験に落ちたのに、アルバイトをしたいなんてどういうことだ、と怒られてしまったんです」
橋本
「確かに、医学部は試験科目も膨大で、勉強時間を確保しなければならん。ご家族さんからすると、アルバイトなんて何事だ!?と思うかもしれんな」
医学生
「前期試験の結果も普通だったし、親の気持ちもわかるんですが、、。医学部の中だけだと、なんだか自分を閉じ込めているような気がするんです」
橋本
「なるほどね。その意見も良く分かる。医学部はかなり閉鎖的な環境だから、外の世界も見てみたいという事だよな」
医学生
「先生のおっしゃる通りです。先生、どうしたらいいでしょうか」
橋本
「難しい問題だよな。よし、そうしたら、まずはアルバイトのメリットをまとめてみるか」
医学生
「お願いします!」
橋本
「名付けて、医学生あるあるアルバイトめりめりメリット大作戦だ!」
医学生
「先生、そういうのって、言ってて恥ずかしくないんですか?(-ω-)/」
ということで、今日のコラムでは、医学生がアルバイトをするメリットについてまとめてみたいと思います。
目次
アルバイトと言ったら、まずはこれですよね。一般の人からすると、「医学生なんだから医学を勉強してほしい」なんて言われるかもしれませんが、それはお門違いですよね。
医学部では、部活動、サークル活動、値段の高い参考書や交通費など、思った以上にお金が必要です。いくら仕送りをもらっていたとしても、アルバイトによるまとまった収入は、中々大きいものです。
また、私としては、医師になる前に、お金を稼ぐのがどれだけ大変なのか、というのを学んでおいてほしいなと思っている所もあります。
理由としてですが、将来医師として働いていると、色んな営業の人とお話することがあるかもしれません。その時にきちんと「それは高すぎではありませんか?」と言える相場観を持っていてほしいのです。
医学生や医師は、勉強時間が長い分、お金を使う機会があまりありません。ですので、アルバイトの収入を通して、そういった相場観を身に着けておいてほしいなと思うんです。
医学部は本当に狭い世界です。積極的に外に出ようと思わなければ、そのまま医師になり、外の世界との交流は外来と病棟がメインになります。
アルバイト先では、フリーターや高校生、他の大学の違う学部生など、多種多様の価値観の人が働いています。そこで働く人との交流を通じて、学校の友人とは違った新しい価値観や考え方を知る事ができます。真剣な悩みができた場合にも、違う視点からのアドバイスをもらえることは、とても大きな武器になります。
そしてそれらの経験は、何より楽しい思い出になります。社会に出るまでの準備期間として、身だしなみや挨拶などのマナーや一般常識を教えてもらえるというのも、メリットとしてはとても大きいものです(それが出来る研修医は、年配の患者さんや看護師さんからモテたりすることもあります(;´∀`))
疲れた時に、違う視点から相談に乗ってくれる仲間は、これからずっと生きていく上で、とても大きな財産になります。
「もしお前が一つの世界を真剣に見つめようとすると、一つの世界だけにいてはいけない」
これは私の尊敬する人の教えでした。どういう事か、具体的に説明したいと思います。医学生がアルバイトをしていると、色々な人に医学の事を相談されます。
「ねえねえ、このブツブツどうしたら治るだろう」
「のどが痛いんだけどどうしたらいい?」
「昨日頭をぶつけて、今更頭が痛くなってきたんだけど、これって大丈夫かな?病院行った方がいいかな?」
こんな感じで、まるで小さな外来のような様子です。そして実は、病院での患者さん達とのやり取りは、医学部の進級試験に出題されるようなことではなく、むしろそういった「素朴な疑問」がほとんどだったりします。アルバイト先などの外の世界に出た時に、自分のいる世界がどういう所なのか、というのが分かるというメリットです。
また、そういった質問を受けた時に、嘘を教えてはいけないと考えると、どんどん知的好奇心がわいてきて、興味で勉強してみたくなることがあります。
そんなチャンスを、是非見逃さないでくださいね(^^)あ、もし分からなければ「病院に行ったら?」と答えておいて、後で「なんだった? ああ、なるほど。そうだと思った~」なんて言いながら、自分の経験に変えてしまいましょう! 医学が実感に変わってきて、勉強自体がどんどん楽しくなると思います。
そんな風に、アルバイト先で様々な人から質問を受けて答えているうちに、自分が徐々に医者になるという実感がわいてきます。身内の人に聴診器を当ててみたりしたくなります。
隣の友達の脈をとってみたり、測ってみたりしたくなります。それらは研修医でも経験できることですが、早い段階で「頼られるプレッシャー」を感じておくのも、成長につながるでしょう。
私は当時、興味のないバイトも多く経験しました。理由は単純で、「自分探し」でした。
私は医学部にいましたが、医師になる実感が本当にわかず、将来にずっと悩んでいました。しかし、考えても考えても見えてこないもので、自分の場合は動いて、実際に経験したことから学んでいくしかないと思うようになりました。そこで、沢山のアルバイトを経験しました。その経験が、自分を作る材料になったと思います。
楽しい事、辛い事、好きなこと、嫌いなこと、そういったことは、家やネットで探していても見つかりにくいものだと思います。実際に勇気を出して動いてみて、初めて見えるものがあります。大学ではないところに、あなたの人生を豊かにするヒントがあるかもしれません(*^▽^*)
医学の学習は、本当に頭を使います。それは、医学をどんなに楽しいと感じていても、ずっと没頭できるものではありません。
医学部の勉強は、6年間という長期戦です。長い視野でみると、アルバイトの時間は、勉強の息抜きの時間としては、丁度いいものになるかもしれません。
※関連コラム「効率のいい医学の勉強の方法を、内科医が真剣に考えてみた」
コミュニケーションの力は、どれだけ勇気を出して、色んな人と話をするかに尽きます。経験が大切です。アルバイトをすれば、否が応でも人と話をする機会が増えますので、コミュニケーション能力を鍛えたい人にはおすすめです(≧▽≦)
※関連コラム「医学生がコミュニケーション能力を鍛える方法を考えてみた!」
相談するのが遅くて手遅れになる事はあっても、早くて問題になる事はありません。お困りの方は早いうちにご相談ください。
医学生道場 代表医師 橋本将吉