こんにちは。医学生道場の代表の橋本です。
先日、医学生さんからご相談を頂いたので、紹介したいと思います。
医学生
「先生、基礎医学がつまらなくて仕方がありません。何かいい方法ないですか?」
橋本?
「言いたいことは良く分かる。イメージがわかないとつまらないよな」
医学生
「そうなんです。臨床やってからでもいいじゃん、って思うんですが、なぜ基礎医学から何でしょう」
橋本?
「私も昔はそう疑問に思っていた。理由もある程度分かったが、結論から言うと、それは大人の事情と言うやつだった」
医学生
「え~~そうなんですか。とりあえず、うまく乗り越える方法を教えてほしいです!」
橋本?
「よっしゃ!ついてこいや~!」
このコラムを読んでくれているということは、すでに基礎医学がつまらなくなっている可能性があります(´・ω・`)
基礎医学はどうしてつまらないのでしょうか。どんどん突っ込んでいきましょう。
目次
基礎医学は、医学の基礎となる分野のことです。
人間の身体はとても複雑で、血圧について考えてみるだけでも、血管を押す力(流動力学や数学や物理学)、血液の構成成分(生物学や生理学や生化学)などなど、本当に沢山の分野を勉強する必要があります。
そのため、これから臨床医学を学んでいく前に、あらかじめ「一通り」勉強しておきましょう、というのが基礎医学です。
簡単に言うと、掛け算を勉強する前に、足し算を勉強しましょう、ということですね。
、、、はい、ごもっともです。
納得いかないという声が聞こえてきましたね。
ご存知の通り、「一通り」なんて生半可な量ではありませんね。
それぞれの専門分野がとても深く、ボリュームも相当な量があります。
さらに、医学は日進月歩の学問ですので、どんどん変わっていく(逃げていく?)ことについて勉強をしなければならないということが、そもそも大変なことなのです。
それらが試験になるのであれば、少しぐらい問題を過去問と同じにしてほしいと考えたくなりますよね。
基礎医学はどうしてつまらなく感じてしまうのでしょうか。その答えはいくつかあると思います。
①実感がわきづらい
②何を話されているか想像ができない
③分からないから覚えられない
④専門用語ばっかりで暗号にしか見えない
⑤医学部の勉強はもっと面白いと思っていた
⑥周りがすごすぎて、自信がなくなってしまった
シンプルにまとめると、専門用語が並んでいて、それがつながって文章になっているので、イメージがわきづらいのです。
意味が分からなくて、眠くなってきて、つまらなく感じてしまうのが基礎医学なのです。
例を挙げてみたいと思います。
「RNAポリメラーゼとは何か。それはRNAを合成する酵素の総称で、通常、DNA を鋳型として RNA を合成する転写反応を触媒する DNA 依存性 RNA ポリメラーゼを指す場合が多い」
さて、これを初めて読んで、「なんて面白いんだ! もっと勉強したい!」と感じる人がいるでしょうか。
そして、教科書では、これが何百・何千ページと続いてしまっています。
試験に向けて勉強をするとしても、モチベーションの保ち方さえどうすればいいか悩んでしまいますよね。
膨大な量の試験勉強という長時間の作業をするためには、方法論が欠かせません。
今回は、いくつかきっかけになりそうなものをご紹介しますので、自分の価値観で当てはまるものがあれば、是非採用してみてください。
確かに、基礎医学は専門用語で、理解しづらいことだらけかもしれません。
そうだったとしても、とにかくとにかく多くの時間をかけて、勉強を頑張ってみましょう。
そうすると、少しずつ少しずつですが、徐々に繋がってくるようになります。それで成功体験を重ねて、少しずつ面白くなってきます。
嫌がりながらでも良いのです。要領が悪くてもかっこ悪くてもいいのです。初めはみな同じスタートラインなのです。
そして、興味が出てくることを祈って、とにかく時間をかけてみましょう。
「時間そのもの」にノルマを設けるのも、全然ありです。
「1日3時間は勉強するぞ!」と決めてみましょう。
1時間しか勉強しないで「分からないから無理~」と言っている人より、30時間を確保して勉強した人のほうが、興味をもてる可能性は格段に高いぞ、という根性論です。
少しダサいと言えばダサいのですが、かけた時間は嘘をつきません。新しい視点だなと思った方は、少し考慮してみてください。
一緒に勉強ができるような仲間がいたら、すぐに勉強の約束をしておきましょう!
そうすれば、少しでも前に進むことができます。
人は勉強をしようと思えば思うほど、勉強をするのが面倒になってしまいます。
それを「仲間と約束をする」という目的にすり替えてしまいましょう。それで勉強時間が確保できれば儲けものです。
そして、実際に勉強の約束をしてあれば、少なからず勉強をすることになるでしょう。
そして、あわよくば、質問を投げ合うことになって、まるで学会をしているかのような状況になれば、作戦は大成功です。
これが一番具体的な方法論になります。
もし教科書で難しい言葉があれば、そこから矢印を引っぱって、簡単な言葉に置き換えてしまいましょう。
例えば、次のような形です。
生化学 → 身体の中の化学
DNAポリメラーゼ → DNAを作るやつ
胃粘膜下腫瘍 → 胃の粘膜の下にある腫瘍、つまり胃癌の中でもちょっと変わった奴
こうすると読みやすくなる文章が多くあることに気がつくと思います。
基礎医学は専門用語ばかりだから読みにくいのです。
読みにくいいまま読み進めてしまうので、分からなくなってしまうのです。分からないことが多すぎれば、当然つまらなくなってしまいます。
ですので、分からない単語があれば一つずつ、分かりやすい言葉に変えていきましょう。
どんどん読める文章に変わっていくでしょう。
ちなみに、三つ目の例にもあるように、この技術は臨床医学でも、そして他の学問に挑戦する時にも使うことができます。
ぜひチャレンジしてみてください。
これもすごく簡単な方法なので、ぜひ試してみてください。人は、色がついているものとそうでないものとでは、全く興味が変わってしまいます。
下の画像をご覧ください。
とても大きな違いだと思いませんか。ボールペンや色鉛筆で、どんどん書き込んで色をつけてみましょう。
ちなみに医学生道場の生徒の教科書は「書き込みまくり」の「色が付きまくり」で、自分達にとっては最高級に読みやすい教科書になっています。下の写真のような感じです。
手を動かしてつなげていくだけなのですが、数をこなしてみると、意外と奥が深く面白い方法なので、ぜひ試してみてくださいね(^^♪
さて、医学生道場では、必ず一番初めの授業の際に一緒に作るのが、この学習計画です。
他人と作った学習計画は、約束と同じようなものなので、俄然やる気が変わります。
私と一緒に学習計画を立てると、相当シビアで客観的な視点になるので、次のような声をもらうことが多いです。
「思ったより全然時間がないことが分かりました」
「そもそも時間が限られていることが分かりました」
「もはややる気があるとかないとか言っている場合ではないことに気づきました」
「とりあえず勉強時間を確保することにします。生活習慣の改善が必要ですね!」
「出来る限りの時間を人がいる自習室に来て、勉強時間に充てることにします」
など、気づくことが沢山あります。計画の立て方に関しては、他のコラムにも書いてありますので、ぜひ読んでみてください。
相談するのが遅くて手遅れになることはあっても、早くて問題になることはありません。お困りの方は早いうちにご相談ください。
医学生道場 代表医師 橋本将吉