こんにちは。医学生道場の代表の橋本です。
先日、ある医学生さんから、次のようなお問い合わせを頂きましたので、ご紹介したいと思います。
医学生
「先生、お母さんの言っている事が論理的ではなく、話が通じません。どうしたらいいのでしょうか」
橋本
「おうおう、どうした?喧嘩でもしたのか?」
医学生
「いや、僕自身、色々大切にしている事とかあるんですけど、全く理解してくれる気配が無いんです」
橋本
「勉強しろとか、部活やってる場合じゃないだろとか、友達と遊んでる場合じゃないだろとか?」
医学生
「はい、そんな感じです」
橋本
「それはね、自我の確立と言って、きちんと考えて行動するようになったという証拠であり、つまり成長そのものだ。素晴らしい!」
医学生
「先生、素晴らしい! じゃなくて、、、どうしたらいいでしょうか」
橋本
「よし、そうしたらいくつかヒントをあげようじゃないか、若者よ!」
医学生
「先生、気づいたんですけど、これって他のコラムを使いまわしていませんか?笑」
前提として、お母さんも人間です。
人間ということは、医学的に「細胞の塊」です。さらに、その細胞達は「神経細胞(脳)」に支配されています。
つまり、お母さんが成長してきた過程で得られてきた成功体験が繰り返されるように、脳のシナプスが結合されています。
よって、それに基づいたアドバイスや投げかけがされます。
一方、あなたにはあなたの積み重ねてきたシナプス、つまり考え方があります。
時代も違えば、出会ってきた仲間も違えば、考え方も違うに決まっているのです。
あなたが大切にしようとしている価値観は、お母さんのそれとは違う場合もあります。それを、人間発達学や精神科学では「自我の確立」と呼びます。人間にとって、永遠の課題なのです。
あなたと両親とでは、シナプスの結合、すなわち考え方が違います。
すれ違ってしまうのは、仕方のないことなのです。では、どうすれば良いのでしょうか。
ここで、新しい概念「交渉術」というものをご紹介したいと思います。
「交渉術」とは、相手にどうしてもわかってほしいことを伝える技術のことです。
相手の要求を理解し、妥協点を探すことも含まれます。
医師として働く場合、外来でも交渉術はとても便利な武器になります。私の場合、無茶なことを言う患者さんを、笑顔で返す素晴らしい武器として使っています(・ω・)
普段の生活でも便利な代物なので、興味があったら勉強してみるといいかもしれません。
ここで、お母さんと「交渉」をする時に、押さえておくべきポイントについて考えていきます。
私は医学生のお母さんと数えきれないぐらいの面談をしてきましたが、その経験上、医学生のお母さんには、いくつかの傾向があると思っています。
医学生のお母さんの多くは、知的で賢く、一方で時々感情的で、心に響く言葉を突き刺してきます。
論理的思考を鍛えてきた医学生にとっては、論理的な会話だけでは通用しないこともあり、少々厄介な相手になり得ます。
医学生が、身内であるお母さんに理解してもらうためには、お母さんの心に合わせて入り込んであげたり、面と向かって戦わないように言葉を注意するなど、いくつかの技術が必要になります。
それでは、他の方法は無いのでしょうか。実は方法は、ありま~っす♪(古っ)
それは結果で示すことです。あなたが正しいことを証明するためには、相手の想像を上回る結果を見せることです。
例えば、あなたの友人が、ある日突然「オリンピックを目指すぞ!」と言い出したとします。
あなたは「やめとけ、上には上がいるんだぞ」とアドバイスするかもしれません。
それは、友人の将来を思っての真剣なアドバイスです。
しかし友達は、あなたの反対を振り切って練習を重ねました。その結果、オリンピックに出場とまではいかなかったものの、国体に出るほどには結果を出すことができました。
そんな友人を見れば、あなたは恐らく納得せざるを得なくなるでしょう。
あなたも、この友人と同じように、結果で示すことを目指してみてください。悔しさをバネにするということの具体化と言えます。
全国どこでも「相手に分かってもらえないんです」という悩みはとても多いのです。
不幸なことに、相手が「分かってやるもんか!」と思っている時さえあります。
そんな相手に分かってもらうことは、とても大変なことなのです。
そこで、「分かってもらおう」ではなく、「結果を出してやろう」「好きなことに集中して、結果的に認めてもらおう」と発想転換するのが、精神的に落ち着く方法になることがあります。
そしてもう一つ、違う観点のアドバイスをしたいと思います。
それは、同じような考え方の人を探すことです。
価値観が近い人は、同じようなことで悩んでいる可能性があります。世の中にはこれだけたくさんの人が居るのですから、探してみる価値があります。
同じ経験をした人に話を聞いてもらうと、人は不思議と安心するものです。
相談するのが遅くて手遅れになることはあっても、早くて問題になることはありません。お困りの方は早いうちにご相談ください。
医学生道場 代表医師 橋本将吉